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【読めるラジオ】第245回放送『2011-2012 日本カー・オブ・ザ・イヤー』スペシャルゲスト:JCOTY評議員 三好正巳さん

「2011-2012 日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、 電気自動車の日産リーフが受賞!


 

岩貞:さて、今日は日本カー・オブ・ザ・イヤーについて津々見友彦さんと一緒に話を進めていきたいと思いますが、今日はもう一方、ゲストにお越しいただいています。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会・評議員の三好正巳(みよし・まさみ)さんです。よろしくお願いします。

 

三好:よろしくお願いします。

 

岩貞:昨年も日本カー・オブ・ザ・イヤーが決定した時に、三好さんにお越しいただいたんですが、その時は実行委員長ということで(したね)。

 

三好:そうですね。実行委員長というのは5年という任期がありまして、去年でちょうど5年という任期を終えました。今年からは評議員ということで実行委員会の諮問機関的な役割として、全部で7名いるのですが、その内のひとりとして、タイムリーなアドバイスを実行委員会に送っていこうじゃないかというような立場で活動しております。

 

岩貞:津々見さん、三好さんのような立場の方がしっかり見ていてくれると安心ですよね。

 

津々見:そうですね。三好さんはクルマの運転が本当に上手いんですよ~(笑)

 

三好:今日はそういう話 !? (笑)

 

津々見:クルマのことがよくわかっていらっしゃいますし、それからすごくフェアに自動車業界を育てていこうという気持ちがある方なんで、おおいに期待しております。

 

岩貞:とても熱い方だということは、私もよく存じ上げているつもりです。さて三好さん…、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーが決まりましたね~。

 

三好:今年でカー・オブ・ザ・イヤーは32回目なんですけど、当然ながら初めて、内燃機関の付いていないクルマがなんとイヤーカーに選ばれました。

 

岩貞:改めてご紹介いただけますか?

 

三好:日産リーフですね。非常にクルマとしてもよくできていますし、日産はこれに取り組むにあたって、電気自動車はどうやったら実用化に向けて早く動き出せるのだろうということで、インフラのところにまで手をつけたんですね。そういった意味では広い意味での今回イヤーカーにつながったと、ボクは思っています。

 

岩貞:はい。そして今回インポートカー・オブ・ザ・イヤーにはメルセデス・ベンツCクラスのセダンとステーションワゴンが(選ばれましたね)。

 

 

三好:これもちょっと異例というか、面白いカタチなんですけれど、実はCクラスそのものは、2007-2008インポートカー・オブ・ザ・イヤーを取っているんですね。それで、今回は再受賞。根本的なところではクルマがガラッと変わったのではなくて、ありとあらゆるところに手を加えて、クルマを徹底的にリファインした。我々もノミネートするにあたってどうしたものかと思ったんですけれども、これが乗ってみると別のクルマかというくらい良くなっていまして、しっかりノミネートさせていただくことにしたら、それが評価されて、2度目の受賞になったということです。

 

岩貞:津々見さん。私たちの間でも、これはマイナーチェンジなので、今年のノミネートに入るのか入らないのか…っていうのはありましたよね?

 

津々見:そうなんですね。他の新車があるということで、実は私も今まさに三好さんがおっしゃっていた通り、乗ってビックリするほどの出来の良さなんですね。ですから熟成度はナンバー1なんですけれども、ただ、マイナーチェンジだったということでですね、私は新型車の方に(点数を)入れてしまったんですけれども、でも出来は抜群に良いですね。最終モデルになるとこんなに良くなるのか、という感じがしました。

 

岩貞:そしてもうひとつ、実行委員会特別賞。こちらはマツダ デミオ スカイアクティブが受賞しました。

 

 

三好:実行委員会特別賞というのは去年からできた賞でして、選考委員の皆様がいろいろな角度からクルマを評価いただいて、その見方で配点も変わってきますよね。そういった票の集まりの中で、実はとてもエポックメイキングなクルマなのに、あのクルマを今年のクルマとして記録に残しておきたいというのを選考委員の皆様じゃなくて、この会を組織する実行委員35名の中で、選んでみようということで、去年から始まったんです。で、今年はマツダのデミオ スカイアクティブが選ばれたということですね。

 

岩貞:確かに三好さんがおっしゃるように、今年は10ベストカーになにが入っていたのかは覚えているのですが、10年20年経ってヒストリーを紐解いていくと、受賞車以外のクルマを覚えていなかったりするんですよね。

 

三好:そうですね。

 

岩貞:ですからこういったカタチで歴史に刻んでいくというのは、すごく重要なことだと思います。

 

三好:そう思いまして去年から作りまして、実行委員の人たちも参加意識を非常に高く持ちまして、「毎年1台は我々が選ぶぞ!」という気持ちを持っています。

 

岩貞:その一方でですね、前の年まであった3賞というのが、実はもうなくなっていますね?

 

三好:はい、MOST VALUE(モースト・バリュー)という賞とMOST ADVANCED TECHNOLOGY(モースト・アドヴァンスト・テクノロジー)賞、それからMOST FUN(モースト・ファン)賞という3つの賞があったんですけれども、これをどうしようかという議論は10年来、賞が設定された頃から色々あったんですね。例えばバリュー。どういう価値なのか? (とにかく)安いという価値なのか? あるいはコストパフォーマンスに優れているということなのか? あるいはものすごく高くてこれは高価値だというふうに判断するのか? このように非常に判断の難しい賞だったんですね。これを続けていくと、この賞はなにに(対して)与えられているのかわからなくなってしまうんじゃないかと(いう懸念があったんです)。モーストファンもそうですね。面白いというのはなにを指しているのか? そういったことを含めてこの3賞を取り下げて、実行委員会特別賞に一本化して、もう少し賞を取ったクルマの価値を高めていこうと、いうようなところを今やっているわけですね。

 

岩貞:津々見さん、この3賞(には)毎年悩みましたよね~。

 

津々見:そうなんですね。イヤーカーになるクルマは1台なんですけれども、それ以外にここ褒めたいな~、とか、この美しいクルマだなとあるんですね。ですからそういう意味では従来の3賞があったので、なんとかそっちの方で、(フォローできたんですけどね)。なくなってそういう意味では寂しいですけれども、ただ今おっしゃられてような特別賞が、スケイアクティブに入ったのは良かったな~と思っています。ですからある意味、ほっとしているというか嬉しいですね。

 

岩貞:日本カー・オブ・ザ・イヤー、非常に長い歴史があるんですが、三好さんがこれまでの歴史の中で、一番思い出に残っているクルマってなんですか?

 

三好:思い出に残っているというよりも、日本のクルマの歴史に大事なクルマが3台そろい踏みした年があったんですね。89年なんですけれでも、スカイラインGT-R、トヨタのセルシオ、マツダのロードスター…このどれもが今振り返ってみても、ものすごく自動車の歴史に名を残すようなクルマばかりなんですね。結局(イヤーカーは)最終的にはセルシオに決まるんですけれども。あの頃は実行委員も点数を入れられました。私はGT-Rに10点、セルシオに9点と入れた覚えがあります(笑)。皆さんと同じで苦しんだです(笑)。

 

岩貞:そこの1点差に迷いがありますね(笑)。

 

三好:本当に両方とも素晴らしいクルマでした。

 

 

岩貞:先ほどもご紹介しましたが、今年のカー・オブ・ザ・イヤーは日産リーフに決まりましたが、三好さんこれはブッチ切りでしたね。

 

三好:すごい10点の数でしたね。読み上げるのが次から次に10点だったんで、最初の10人くらいでもう決まっちゃったかなと思ったぐらいで、最初の10人のうちで、10点入れてなかったのはひとりだけでしたからね。

 

岩貞:スイマセン…(笑)。

 

三好:誰とは言いませんが(笑)。

 

岩貞:最初のスタートダッシュで(票が偏ったというのは)まれと言うか、(滅多にない)展開でしたよね?

 

三好:ここ5~6年の間に、この522点というのを(2008年のトヨタ)iQなんかが上回ったりもしているんですけども、ただ10点の数はこれはものすごいですね。

 

岩貞:(この展開は)三好さんは予想されていましたか?

 

三好:ボクは人によっては電気自動車なんかはクルマじゃないと言っている選考委員の方がいらっしゃるということも聞いたりしていたんですよね。言われてみれば内燃機関を積んでいなくて、セルモーターを回さないで走っていってしまうクルマなんて、クルマじゃないというご意見もわからなくはなかったんで、もしかしたらそういう方が何人も現われるとリーフもピンチかなって思ったこともあったんですけれども、段々皆さんに聞いてみるとやっぱり今年、記録に残さなければいけないクルマはリーフだね、という人が圧倒的に多かったですね。途中からはこれはリーフだなって、内心では思っていました。

 

岩貞:津々見さんはどのあたりで?

 

津々見:最初から(リーフが)ブッチ切りだったんで、ちょっとビックリしましたね。ただし当然ながら新しい時代の幕開けの第一歩を踏み出しクルマですから、評価して当然だと思うんですね。それから三好さんも言われていましたけど、これだけインフラもしっかりやって、本気度を示したわけですね。そういう意味では、(日本カー・オブ・ザ・イヤーを取れて)良かったな、と思いますね。

 

岩貞:それではここで、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した日産自動車執行役員でゼロエミッション事業本部担当の渡部英朗(わたなべ・ひであき)さんのインタビューをお聞きください。

 

 

【インタビュー】

 

渡部:「本当にどうもありがとうございます。電気自動車の日産リーフということで、新しい幕開けということもありまして、嬉しい限りです。とにかく今回受賞させていただいたことは、日産リーフあるいは、ゼロエミッションの拡大。日産頑張れ! という応援だと思っております。つまりこれが終わりではなくて、ここがスタートだという風に思っておりますので、頑張っていきたいと思います。それから日産リーフ、あるいはゼロエミッション賛同してくださった、特にリーフのオーナーの方々に本当に感謝の念で一杯であります。これからもっともっと頑張って、このような社会を広げていきたいと思っておりますので、ぜひとも応援のほどをよろしくお願いしたいと思っております。どうもありがとうございました」

 

 

岩貞:日産自動車の執行役員、渡辺英朗さんの受賞インタビューをお聞きいただきました。三好さん、「ここからがスタートだ」と(いう風におっしゃっていましたね)。

 

三好:そうですね。リーフは今までのクルマと走る性能は比べてもいいですけど、それ以外を比べることは、ボクは無理だと思うんですね。これから航続距離も延びたりもしてくると思いますが、でもガソリン車並みの航続距離を身につけるには、だいぶ時間がかかります。そういったことを考えると、まさかクルマ1台で、2日間家庭の電気が賄えるなんてことが、ガソリンエンジンにはないわけですよね。ですから同じ土俵で比較できない領域のクルマなんだということをまず念頭において、渡部さんはいろいろお聞きすると熱く語ってくれますよ。

 

岩貞:そうですか。ちなみに津々見さんも、日産リーフに10点を投じられたおひとりですよね?

 

津々見:そうですね。私は初代プリウスが出た時と同じインパクトを感じたんですね。新しい時代の流れを作ったなと。それから乗ってみると、すごく質感が高いんですよね。静かでハンドリングが良くて、これは三好さんなんかも得意な範疇なんですけど、低重心でハンドリングが良いんですよね。

 

三好:すごく良いですね。コーナーを回っている時の安定感、安心感は高いですね。

 

津々見:そういったところもすっかり気に入りました。それとやはり、インフラ整備も頑張っているので、これから期待したいクルマですね。

 

岩貞:ちなみに「THE MOTOR WEEKLY」のレギュラーコメンテーターである石井昌道さんもリーフに10点。桂伸一さんもリーフ、そしてゲストで何度か来ていただきましたピーター・ライオンさんもリーフに10点というこです。

 

津々見:そして?

 

岩貞:スイマセン(笑)…私はミライースに10点を入れさせていただきました。

 

津々見:あ !? 入ってますね~。いや、でもそれもひとつの見識だと思うんですよ。実は私もミライースの評価をすごく迷いました。やっぱりコンベンショナルなガソリンエンジンを使って、あそこまで徹底して頑張ったことは、デミオのスカイアクティブと通じるところがありまして、私は三好さんにお願いしたいんですけど、ぜひ3賞を復活していただきたい! この3賞さえあればこの2台の救済もできたじゃないかと…な~んて密かに思ってるんですけども。

 

三好:十分に考えさせていただきます…。

 

津々見:ぜひよろしくお願いします。

 

岩貞:そういう意味ではこの10ベストに残ったクルマは、電気自動車、ハイブリッド、内燃機関を煮詰めていったということで、エコ技術が出揃ってきたという感じがしますよね。

 

三好:もうひとつ注目しなければいけないのは、やっぱりインポートカー。5車も選ばれていますよね。このインポートカー5車の個性、そしてクルマの本質を絶対に離さないエコカー化というのが今回は際立っていましたね。インポートカーに乗って、ハンドルを握って、走り出して、あるいはドアを閉めて、ありとあらゆるクルマとの触れ合いの中で、品質を決して忘れない。乗る人の心を絶対に楽しませてくれる。その上で小さなエンジンで燃費を稼ぐ。というようなことを織り込んでいく…あのクルマ作りは大したもんですよね。

 

津々見:さすがですね! まさに私もその通りだと思います。ホントに走り出した時の質感の高さ。これにまず驚きますし、しかもサイズダウンされたエンジンは使いやすいトルクがきちんとあって、走りの味の良さ、品質の高さ。こういった(全体的な)質感の高さは感じましたね。

 

三好:言い過ぎかもしれないけど、ちょっと日本のメーカーは、ハイブリッドなどで一生懸命エコを追いかけたあまりに、一番大事なところを忘れたとまでは言わないにしても、おろそかにしちゃったかな、というクルマに良く出会いますね。

 

津々見:なるほど~。

 

岩貞:確かにインポート・カー・オブ・ザ・イヤーの点数を見てみますと、1位がメルセデス・ベンツで174票だったんですけれども、2位のプジョー508が170票。わずか4表差ということで、どれもそれぞれが個性的で、ホントに価値のあるクルマだということを、我々選考委員も評価しているわけですね。

 

 

津々見:そうですね。それでこのCクラスと508との争い! ハラハラしましたね~。

 

三好:途中終盤まで4点差までいきましっけ?

 

津々見:いや、1点差まで詰め寄ったんですよ。で、最終的に4点差!

 

三好:そうか、そうか。

 

津々見:これはね、私はずっとプジョーの広報の方の顔をずっと見ていましたけど、ホントに泣いたり笑ったり大変でした。

 

三好:ちょっと可愛そうでしたね。

 

津々見:そうですね。

 

岩貞:最後はあと3人、ふたりと、票が開くにつれて、まだ残っている方のお気持ちを考えるとちょっとドキドキしますよね。

 

津々見:最後の人が責任感じちゃって(笑)、横越(よこごし)さんだったと思うんですけど…。

 

三好:いやいや、吉田 匠(よしだ・たくみ)さんですよ。

 

津々見:匠さんでしたっけ!?

 

三好:やっぱり自分の苗字のことを考えて、選考委員になった方が良いかもしれません(笑)

 

津々見:なるほど(笑)

 

三好:発表はアイウエオ順なんで(笑)

 

 

岩貞:三好さん、名残惜しいですが、エンディングになってしまいました。今年のイヤーカーが決まった時点で、(もう)各自動車メーカーは来年に向けてスタートをしていると思うんですが、来年はどんな展開になると思いますか?

 

三好:来年も期待できるクルマが次々出てくる年になるでしょうね。なると断言してはいけないんでしょうけど(笑)。わかっていることで言えば、例のトヨタのハチロク。富士重工業が同じクルマで売り出すBRZ。この2台が運転も楽しむクルマとして出てくるんですね。さっきボクがインポートカーの話をしましたけれども、国産車も走りを楽しむ、こんな割り切った潔いクルマを出すんだぞっていってイヤーカーに挑戦してきます。

 

岩貞:ちなみにこれ、エントリーってどうなるんですか?

 

三好:良いこと聞いてきますね。あの…(今はまだ)わかりません…。

 

全員:(笑)。

 

三好:それとプラグインハイブリッドが初めて市販されます。これはトヨタからプリウスが発売されているんですけれども、普段の走行、それこそ20km~25kmくらいであれば家庭で充電した電池で賄えてしまう。(要するに)ガソリン代がかからないということですね。(販売価格は)300万円程度と言われていますけれども、果たしてそれくらいの価値があるかどうか? これはまた乗ってみないとわからないというお楽しみですね。それとNシリーズがホンダから出てきます。「Nってなんだ?」って津々見さんとボクにしかわからないと思いますが、昔N360というホントに小気良く走るスタイリッシュな軽自動車がホンダから出たんですね。これは若者がみんな欲しい欲しいと言って飛びつきました。それを現代にどうやったら生まれ変わらせられるのか? という軽自動車規格で出てくる楽しいクルマです。ちょっとご期待ください。

 

岩貞:津々見さんはいかがですか?

 

津々見:まさにその通りですね。たくさん楽しいクルマが出てくるので、我々はユーザーに向かってクルマってこうあるべきだ、こういう風にメーカーさんつくってください…というような指針をひとつ示したいと思っているんですね。ですからその間のつなぎ役になれればと思っています。しかしたくさんクルマが出てくるんですね。ですからぜひ三好さんには3賞復活! これをお願いしたいですね~。

 

三好:鋭意検討させていただきます。

 

津々見:はい!

 

岩貞:3賞が復活すると、それを選ぶのにまた悩みますよ…津々見さん。

 

津々見:そ、そうですね…。

 

三好:やっぱりやめます(笑)。

 

全員:(笑)。

 

津々見:楽しく悩ませていただきます(笑)。

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