The Motor Weekly - Fm yokohama 84.7

【トヨタ】カムリをフルモデルチェンジ。国内仕様はハイブリッド車のみに

トヨタは2001年9月5日、世界戦略車として米国で9年連続のベストセラーに輝いているミドルセダンのカムリをフルモデルチェンジ。世界累計販売が1400万台を超えるトヨタの稼ぎ頭は、これで9世代目に突入。同日より全国のカローラ店系列で販売を開始している。

 

 

イメージ一新を図るためハイブリッドに特化

 

今回のカムリについては、日本国内にはハイブリッド車のみが投入されるというのが最大のニュースだろう。そこにはトヨタの販売チャネルの中でも最大のスケールを誇るカローラ店のフラッグシップモデルとして、大いなる巻き返しを図る狙いが込められている。

 

開発のコンセプトは「New ERA Sedan」ERAとは時代を意味する造語で、EMOTIONAL(感性)に訴えかけるデザインとパワートレインに加えて、RATIONAL(合理的)な空間づくり、つまり安全で快適な空間を創り出すことを目指したとのことだ。

 

従来のカムリのメインターゲットは、正当派のセダンを好む50代以上という、かなりコンサバティブなところにあった。しかしながら新型はトレンディな環境重視派や、従来のハイブリッド車ではセダンとしての魅力がいまひとつといった層にも積極的にアピール。当然ながら、もう少し若い30代後半から40代のユーザー獲得も目論んでいる。

 

 

 

こだわったのは高級感の演出。空力も優秀!


新型カムリのエクステリアデザイン、とくにフロントビューはデザイナーが注力したポイントだ。目指したのは高級感と先進性の調和。横方向への広がりを感じさせるアッパーグリルと、切れ長のヘッドランプデザインによりワイド感を強調。またボンネットフードを一段高く持ち上げることで、フェイスに厚みを持たせることに成功している。縦基調の特徴的なフォグランプにもメッキ加飾が施され、華やかさを演出する存在になっている。

 

 

サイドビューはルーフとショルダー部のキャラクターラインで、あえて前傾姿勢を強調。トランクエンドをスポイラー風の形状にすることで、後方への流れ感を表現している。タイヤ&ホイールはベースグレードには16インチ(スチールホイール&樹脂キャップ)、上位グレードのGパッケージとレザーパッケージには17インチのアルミホイールを履かせている。

 

リアビューで特徴的なのはメッキ塗装されたガーニッシュ。これが両サイドのコンビネーションランプに入り込んで、連結されているかのような印象を持たせている。バンパーはコーナー部分を左右に張り出させ、リフレクターをより外側に配置して、ワイド感を強調しようとしている。

 

なお今回、セダンとしての居住性は確保しつつも、低燃費にも貢献する空力性能の向上には力が注がれた。エクステリアからアンダーフロアに至るまで、ボディ形状の最適化を徹底した結果、Cd値は0.28を達成。とくにホイールまわりの整流効果を高めるために、フロントタイヤ前方とリヤタイヤ後方に一定の平面を設けた、トヨタ独自のエアロコーナーを採用。フロントグリルには「アンダープライオリティ」に基づいたデザインを採用し、上部のグリルは小さくして下部のグリルは寸法を大きく取ることで、気流をスムーズにして空気抵抗を低減している。

 

 

余裕の室内空間。トランクも最大級

 

インテリアは内装色をブラックで統一。高級ハイブリッドセダンに相応しい、上質で落ち着いた空間の演出を目指している。インストルメントパネルを水平基調で広がりのあるデザインとしたのは開放感を感じさせるのが狙いで、全体をソフトパッドで覆って茶色のステッチを施すことで高級感も訴求。助手席側のインパネ下部は柔らかなカーブ形状として、包まれるような安心感をもたらそうとしている。さらにセンタークラスターは縦方向にラウンドさせて手間に張り出させるデザインで、操作性にも配慮したものとなっている。

 

 

ハイブリッドシステムを搭載したからといって、室内の余裕が損なわれるようでは高級セダンを名乗る資格はない。新型カムリはホイールベースこそ従来型と同じ(2775mm)だが、前席を7mm前方へ、後席を8mm後方へリセット。この結果、前後席間距離は972mmに拡大。さらに後席膝もとのスペースは、シートバックの薄型化も貢献して46mmも広がっている。

 

 

ドライビングポジションの自由度も増した。チルトステアリングの調整幅が10mm増えて40mmに。運転席のハイトアジャスターも15mm増えて60mmに拡大した。また数値は変わらなくても、開放感をプラスする工夫が随所に施されている。天井の形状を変更してヘッドクリアランスの余裕を実感させたり、フロントのAピラーをスリム化することで斜め前方視界を向上。ドアトリムのスイッチベース部を薄型化することで、膝まわりのスペースを拡大するなどの改善が施されている。

 

 

トランクスペースはハイブリッドセダンとしては最大級の440L(VDA方式測定値)。リヤシート後方にある駆動用バッテリーまわりをコンパクト化して、ゴルフバッグ4個を収納可能にした。さらに6:4で分割して倒れるリヤシートの右側にはトランクスルー機能も装備した。

 

 

新開発2.5Lエンジンとのコンビネーション

 

ハイブリッドシステムはリダクション機構付きのTHSII。基本的にはSAIやレクサスHS250hの延長線上にあるものだが、搭載されるエンジンは排気量2362ccの2AZ-FXEではなく、新開発された2493ccの2AR-FXE。これによりエンジンの最高出力は160ps(118kW)、最大トルクは21.7kgm(213Nm)と、SAIを10ps、2.6kgm上回るスペックを獲得。3.0Lクラスのガソリンエンジン車に匹敵する動力性能を発揮しながら、その余裕を燃費にもフィードバック。10・15モード燃費が26.5km/L、JC08モード23.4km/Lという燃費を実現。SAIと比べて10・15モードで3.5km/L、JC08モードで3.6km/Lも優れたデータを誇っている。

 

 

新型カムリの特徴のひとつとして、クラス最高レベルの静粛性も挙げられる。圧倒的な静かさを誇るハイブリッドシステムに加えて、風切音やロードノイズも低減して、走行中でも会話のしやすい室内空間を実現させた。具体的には高遮音性のシールドガラスをフロントウインドウに採用して風切音を減らし、フェンダーライナーにサイレンサーを設定することでロードノイズを低減。ダッシュパネルの防音処理やドア下のシール性能強化で、室内への音の侵入を抑制している。

 

最後に、新型カムリの安全性能面に触れておこう。重量や車高の異なるクルマ同士の衝突安全=共存を追求する全方位コンパティビリティボディ構造を採用。2トン級の大型車との衝突でも安全性を確保し、逆に車重の軽い相手車両のダメージ軽減についての配慮もされたものとなっている。また対人事故の際に有効とされる歩行者傷害軽減ボディ構造も進化。エアバッグは7個を標準装備しているほか、むち打ち傷害軽減のフロントシート(WILコンセプトシート)も採用している。

 

新型カムリのメーカー希望小売価格はベースグレードのハイブリッドが304.0万円(消費税込み、以下同)、“Gパッケージ”が317.0万円、“レザーパッケージ”が380.0万円。駆動方式はFFのみで、4WDの設定はない。月販目標台数は500台となっている。

 

 

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