博士じゃ。
今週は、「ボラ」のウンチクじゃ。
心して聞くのじゃ。
ボラといえば、サビキ釣りに
大きなボラがかかって、
抜きあげられなくて困ったり、
ボートシーバスでは、
飛び跳ねたボラが船に入ってしまったりと、
なにかと釣り人を困らせる魚じゃが、
実は、ひとむかし前までは、
タイと変わらぬ高級魚だったんじゃ。
世界各地の暖かい地域に分布していて、
大きな物は80センチを超し、
関東では「オボコ」「イナッコ」
「スバシリ」「イナ」「ボラ」「トド」と、
成長するに従って呼び名が変わる出世魚じゃ。
粋な様子を表す「いなせ」や、
「結局」という意味の「とどのつまり」は、
どちらもボラの呼び名が
語源になっているという説もあって、
それだけ身近な魚だったというわけじゃな。
釣りで専門に狙う人は少ないため、
「これが絶対!」という釣り方はないが、
防波堤のサビキ釣りや
ウキ釣りのゲストで釣れることも多く、
最近では河口部や温排水に群れるボラを
フライで釣るのも密かな人気じゃ。
水質汚染に強く、
泥などと一緒に微生物や藻、
有機物を食べるため、
湾内で釣れるボラは臭くて食用に向かないが、
外洋に面した磯などで釣れるボラは、臭みもなく、
刺身やムニエル、フライなどにするとうまいんじゃ。
ボラの旬は、10月から1月。
海水温が低いこの時期のボラは、
「寒ぼら」と呼ばれて、
脂ののりがいいのでオススメじゃぞ。
ボラといえば、卵巣を塩漬けにして、
天日干しで乾燥させた「からすみ」は、
日本の三大珍味のひとつになっているほか、
世界中で作られておる。
自分で「からすみ」を作るのは少しハードルが高いが、
釣れたらチャレンジしてみるのもいいかもしれんのぉ。
お試しあれ!