博士じゃ。
今週は、「釣りで学べる生物多様性」のウンチクじゃ。
心して聞くのじゃ。
日本列島とその近海には何種類くらいの魚がいるか、
知っておるかのぉ?
『日本産魚類図鑑』によれば、
南北に細長い日本列島周辺の海と川には、
およそ3800種類の魚が棲息する…
と書かれておる。
では、身近な東京湾や相模湾には、
どのくらいの魚が棲息しているのか。
正確な統計資料は見つからないんじゃが、
鉄腕ダッシュでもおなじみの
木村尚さんによると
東京湾には、魚だけでも
700種以上が棲息しているそうじゃ。
東京湾の生態系が豊かなことが分かるのぉ。
とはいえ、残念なことに、
環境の変化によって
東京湾から姿を消してしまった魚もおるんじゃ。
その代表格が、アオギスじゃ。
アオギスはシロギスにそっくりな魚で、
江戸時代から昭和初期までは、
脚立に乗ってアオギスを釣る「脚立釣り」が
東京湾の初夏の風物詩だったんじゃが、
水質汚染や埋立てで干潟が減ってしまった影響で
アオギスは、東京湾から姿を消してしまったんじゃ。
そして、東京湾では、海草の一種アマモが群生する
「アマモ場」もどんどん減ってしまっておる。
かつては東京湾の干潟や
浅場のいたるところにアマモ場があって
アオリイカの産卵場所だったり、
いろいろな魚の稚魚の隠れ家になっていたんじゃが、
魚が安心して暮らせる場所が
どんどん減ってしまっているんじゃな。
釣り人の中には、東京湾のアマモが減ったことで
アオリイカが減っていると感じている人もいるんじゃ。
釣りを楽しみながらも、
海の環境に目を向けてみたり、
釣れた魚について調べてみたりすることも
「生物多様性」を学ぶきっかけになりそうじゃな。