
博士じゃ。
わしが、うんちくを語る大人気のコーナーじゃ。
心して読むように。
今月は、釣りが大ブームとなっていた江戸時代の釣り事情をアレコレ紹介していくぞ。
今回は、江戸時代の釣糸のウンチクじゃ。
江戸時代、釣りがブームとなったキッカケの1つに、
「あるもの」の発見があるんじゃが、何か分かるかのぉ?
答えは…「テグス」じゃ。
それまでは、釣り糸と言えば、麻で作った糸や、馬の毛などが使われていたんじゃが、
江戸時代から透明なテグスが使われるようになったんじゃ。
テグスは天蚕虫(てんぐすさん)という蛾の幼虫の体内から取りだした糸を
酢につけて加工したもので、水を吸わなくて、伸びたり縮んだりもしなくて、
水中に入れると見えなくなる特徴があるんじゃ。
もともとは、薬を包んだ油紙(あぶらがみ)を縛る糸として、
中国から入ってきたんじゃが、
阿波(あわ)の国、現在の徳島県の漁師さんが、
大阪に行ったときに、たまたま薬問屋でこのテグスを見つけて、
釣り糸として使い始めたんじゃ。
徳島の漁師さんはこのテグスを使うことで、
1本釣りの技術をひらめいたとも言われているんじゃぞ。
これが評判になって、全国に広まっていったんじゃな。
水の中で見えないテグスを使うことで、
魚に警戒心を与えず、簡単に釣ることができるようになったことが、
江戸時代の釣りブームの一因になったんじゃ。