
博士じゃ。
わしが、うんちくを語る大人気のコーナーじゃ。
心して読むように。
先日、国内有数の生マグロの水揚げ高を誇る和歌山県の勝浦漁港で、
411キロ(体長およそ2.6メートル)のクロマグロが水揚げされたのは
知っておるかの?
潮岬沖700キロで捕獲して、
引き上げるのに1時間以上かかったそうじゃ。
このマグロは、およそ270万円で落札されたそうじゃが、
今でこそこんな高値で取引されるクロマグロ…実は、昔は大衆魚だったんじゃ。
今日は、そんなマグロの昔話じゃ。
日本人がマグロを食べ始めた歴史は意外に古くて、縄文時代と言われておる。
縄文時代の貝塚にマグロの骨が残っていたのが動かぬ証拠。
ただ、マグロは鮮度が落ちやすいので、昔は価値の低い魚だったんじゃ。
江戸時代になって、
寿司屋でマグロの身を醤油へ漬け込む「ヅケ(漬け)」が開発されて、
鮮度の低下を遅らせることが可能になったんじゃが、
それでも、明治や大正時代頃までは、アジやサバと同じ大衆魚。
刺身として食べられていたのはもっぱら赤身で、
トロは特に腐りやすいので、加熱用として利用されていたんじゃ。
1960年代になって、漁船の冷凍保存技術が発達して、
日本人の食の好みも変わってきたことで、
トロが生食用として珍重されるようになったんじゃな。
夏になれば相模湾にもマグロがやってくる。
わしも、自分で釣ったトロが食べたいのぉ。