今週は、「国立科学博物館 海洋生態系シンポジウム
「海の環境と生き物をみんなで理解していく~生きてるから死んでるまでを紡ぐ~」に注目してきました!
今夜もお話を伺ったのは、シンポジウムをコーディネートされた独立行政法人 国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 田島木綿子さんです!
田島先生は、イルカ、クジラを中心に日本の各地の海岸に年間300件以上の動物たちが陸にうちあがってしまうストランディングを研究。
これまで、先生が書かれた本「海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること~」「クジラの歌を聴け 動物が生命をつなぐ驚異のしくみ」は、どれも大人気本となっています。
そんな田島先生が、コーディネイトしたのが、8月8日土曜日に国立科学博物館で開催された「海洋生態系シンポジウム 海の環境と生き物をみんなで理解していく~生きてるから死んでるまでを紡ぐ~」。![]()
私たちと同じ哺乳類である海棲哺乳類に焦点をあて、田島先生のご専門の海岸に打ち上がる個体の調査を含めて、各分野の最先端で活躍する企業、非営利団体、研究者や専門家まで、総勢22名の方が一堂に会し講演されました。
最終日の今夜、インタビューをお届けしたのは、登壇者の中でもひときわお話に心を奪われた「建設業」のプロフェッショナル、一般社団法人三重県建設業協会 尾鷲支部長/株式会社 平野組 代表取締役社長 平野金人さんです。![]()
40トンの「災害」。
驚きの言葉に、会場にいた誰もが耳を澄ました瞬間でした。海岸に打ち上がった巨大なクジラの死体は、研究者にとっては「貴重な資料」ですが、腐敗が進行した個体は、地元の人々にとっては「悪臭と油の災害」……。
平野さんにお話では「クジラの先生方から考えれば「標本」なんでしょうけど、我々建設業者から見れば「災害」なんです。海岸に突然あんな偉い大きなものが横たわり、あの悪臭、あの油。全く地元のもんにすれば災害なもんで、それを災害として撤去して焼却処分をしようということで、当初は関わりました。」
2024年4月。三重県北牟婁郡紀北町の岩場に13.5mのオスのマッコウクジラの死体が漂着しました。海岸の通りからおよそ1kmも離れた岩場。腐乱した死体からはひどい悪臭と脂が流れ出、足元が滑り近づくの大変な状況だったそうです。
漁業被害をもたらす「災害」。県からの依頼で、平野さんたちは、クジラの死体を処分するため現場に向かいました。しかし、足場の悪さ、約40トンもの巨体をどう処分しようかと計画を練っていた中、三重県総合博物館の学芸員の方たちも現場に到着し、悪臭を放ち横たわるクジラの死体に手を入れ、骨などを取り出し始めたんだそうです。貴重な資料を一つでも取りこぼさないようにと、必死に作業をするその姿に平野さんたちは心を打たれ、共同で作業することに。
そこで、全身の骨格標本を採るために、クジラの体をそのまま海岸の砂浜に埋めることになりました。しかし、岩場での作業。さらに40トンもの重さ、さらに死体を吊り上げる船もない。そして潮の満ち引きの関係で作業をするチャンスは、3日間だけ!
これまでやった事のない過酷なチャレンジに、様々な人の協力もあり、無事所定の場所に埋めることができたんだそうです。
その活躍は、地域の課題解決であるクジラの埋設処分に貢献しただけでなく、漂着したクジラを単なる廃棄物とせず、学術的な調査・研究や地域の大切な資源へとつなげた持続可能な取り組みが、海洋環境保全や地域貢献(SDGs)の観点から高く評価され、一般社団法人全国建設業協会が主催する表彰で「社会貢献・SDGs功労者表彰(建設業社会貢献SDGs賞)」を受賞されました。
当時の様子やクジラの引き上げの大変さなど、放送ではお届けしきれなかったお話は下記の音声配信からぜひ!
ストランディングの研究をされている田島先生からは、クジラ・イルカまなど大きな動物を調査する時には、その巨大さに人間の非力さを目の当たりに。全国のストランディングの現場でも、重機など大きいものを運ぶ技術、能力がある人のサポートが必要となります。今回、三重県の紀北町で大きなマッコウクジラを現場の博物館と建設会社の方がコラボした一つの事例がSDGs賞を獲ったっていうお話を聞いたので、もうこれは一つのモデルケースとしてぜひ紹介したかったとお話されていました。
今回平野さんのお話を聞いて、田島先生は、2018年に鎌倉・由比ヶ浜に打ちあがったシロナガスクジラの赤ちゃんの事を思い出したとお話されていました。
海洋生態系シンポジウムは、今回が初めての開催でしたが、田島先生はこれを一回で終わらせることなく、2回、3回と、続けていきたいと意欲をのぞかせていました。
また、今回、田島先生が総合監修をされた現在国立科学博物館で開催されている特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」のお話も。
今回の展示では、生き物たちがどうやって生き残ってきたのか、その戦略や適応、戦術について、色んな動物たちで展開しています。生き物や自然への見方が他とは違うので、ぜひぜひ足を運んでいただければ嬉しいです。とのこと。
貴重な展示物も多くあるだけに、10月12日月曜・祝日まで開催されていますので、ぜひ足を運んでみてください。![]()
田島先生の海洋生態系シンポジウムに込めた想いなど、下記の音声配信からから聞くことができます。
国立科学博物館
https://www.kahaku.go.jp/
国立科学博物館 海洋生態系シンポジウム
「海の環境と生き物をみんなで理解していく~生きてるから死んでるまでを紡ぐ~」
https://www.kahaku.go.jp/event/nid00005197.html
株式会社平野組 ホームページ
三重県北牟婁郡紀北町でのマッコウクジラ ストランディング個体については今回お話を伺った平野さんによるnoteをご覧ください。
https://note.com/zenken_net/n/n3ce9736df25a
株式会社平野組 Instagram
国立科学博物館 田島先生の著書
海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること~/山と渓谷社
https://www.yamakei.co.jp/products/2820062950.html
クジラの歌を聴け 動物が生命をつなぐ驚異のしくみ/山と渓谷社
https://www.yamakei.co.jp/products/2822063290.html
田島先生の研究
国立科学博物館 海棲哺乳類 情報データベース
https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/
国立科学博物館 海棲哺乳類 ストランディングマップ
https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/map/
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