ある日、いつものように深夜にサ店で歌詞を書いていた。
作詞に疲れ切って今日は終いにしようと店を出たところで一日中ろくに食べてないことに気が付いた。
ぐるぐるぐる…
緊張の糸が解けた瞬間に空腹かやってきた。
ぐるぐるぐる…
でももう時刻は深夜3時過ぎ。
何かを食べたい。
が、酒を飲む元気は無い。
このクタクタになった体にサッと何かを入れたい。そんな一心で気が付けば某牛丼チェーン店のカウンターに座っている自分がいた。
「ぎゅーどん、大盛。あと生の玉子もお願いしゃす。」
店内の様子は、客はワタクシ一人。
店員は厨房にお兄さん、注文を取るおじいさんよりのおじさんの二人体制。
おじさん店員は随分と疲れていて返事もない。
よくある光景だ。
そして無心で牛丼を食べていたその時、一人の大人しそうなサラリーマンが入ってきた。
さして気にもかけていなかった。
すると、唐突にサラリーマンが口を開いた。
「店員さん、この前僕が酔っ払っていて、店員にひどいこと言っちゃったでしょう?
その節は申し訳ありませんでした。ずっと気になってて…」
おっと、なかなか面白い展開だ、といやしくも気になるワタクシ。
でもサラリーマンは決してそのようなことを言いそうな風には見えないのだ。
「へえ、あんな人が。世の中は見かけによらないものだ。」などと感心していると、くたびれていた店員さんが一言。
「はて、そんなことありましたかね?…ワタシは嫌なことはすぐ忘れちまうんですよ。
でもね、良いことはずっと覚えてられるんで今日のことは忘れませんよ。」
その気の利いた粋な返し、そして落ち着いた口ぶり、くたびれた店員からのギャップにひどく驚いた。
まるで黒澤映画のワンシーンを見ているようだった。
無機質な牛丼チェーン店で思わず人情味あふれる経験をさせてもらった。
「事実は小説より奇なり」
まさにそんなことわざが頭をよぎった。
ずっと篭って歌詞を書いていたが、思わぬ場所で良いものが見れた。
無機質に見えるチェーン店も結局「人」と「人」の関わりで、悪くないものだと思った。
という話を今週はオンエアさせて頂きました。文にした方が伝わるかと思い、再度思い出して書いてみました。いい経験だったなー。
OA曲は、「ザ・ストロークス」の「ジュリアン・カサブランカス」のソロ・アルバムよりお気に入りの曲を選びました!
そして次回の放送では、ワタクシ、カタヤマヒロキより皆さまへお伝えすることがあります。
このコーナーの放送は3月26日
(日付け変わって、3月27日)
深夜3時〜です。
重大発表をお聴き逃しなく!
それではまた来週!バイバイ!
カタヤマヒロキ(Droog)