『ピアノ・グラニテ』は、ピアニスト・伊集院紀子さんが、演奏機会の少ない名曲や作曲家をご紹介するコーナーです。伊集院紀子さんによる演奏もあわせてお楽しみください。
今月は、2月にもご紹介いただいたイギリスの作曲家、ヨーク・ボーエン(York Bowen) の作品を再び取り上げてくださいました。
伊集院紀子さんは、2026年10月30日に 杉並公会堂 小ホール にて、チェリストの ミハル・カニュカ氏、ヴァイオリニストの レオシュ・チェピツキー 氏と共演し、ピアノ・ソロおよび室内楽プログラムによるリサイタルを開催予定です。本日演奏していただく《ヨーク・ボーエン ピアノ・ソナタ第6番 変ロ短調 Op.160》もプログラムに予定されています。
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エドウィン・ヨーク・ボウエン (1884年 - 1961年)
Edwin York Bowen, pianist and composer
ヨーク・ボーエンはロンドン生まれの作曲家で、三人兄弟の末っ子として誕生しました。母は音楽家、父はウイスキー蒸留会社(Bowen & McKechnie)の創設者でした。幼い頃から音楽的才能を発揮し、奨学金を得て王立音楽アカデミーに入学、のちに同校で教鞭も執りました。卓越したピアニストであると同時に、ヴィオラ奏者、ホルン奏者としても優れ、ホルン奏者として第一次世界大戦初期には軍楽隊にも加わっています。
若き日のボーエンは、カミーユ・サン=サーンスから「イギリスの若い作曲家の中で最も注目すべき存在」と絶賛され、戦前はピアニスト、作曲家として華々しい活躍を見せました。イギリスのラフマニノフと称されることもありました。しかし戦後になると、後期ロマン派的な作風は時代の潮流に合わず、次第に評価は下火となっていきます。
1961年の没後、作品の多くは絶版となり、演奏機会も限られましたが、近年の録音や、モニカ・ワトソンによる著書『ヨーク・ボーエン 生誕100周年記念』(1984年、テムズ出版)などを契機に、聴衆や演奏家の関心は再び高まりつつあります。とりわけ《24の前奏曲》をはじめとするピアノ作品やヴィオラ・ソナタは、独特の香り高い抒情性によって、静かな支持を集めています。
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写真:
ピアニスト 伊集院紀子さん
Noriko Ijuin, piano
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