憧れのフルート奏者・クルト・レーデルの魅力 Part 2
今週は先週に引き続き、フルート演奏歴およそ60年の萩谷康一さんに、心の宝として長年大切にされている憧れのフルート奏者、クルト・レーデル(Kurt Redel)の魅力をさらに深掘りしていただきました。
クルト・レーデルの特徴は、やはり音色にあります。柔らかく、温かく、心地よい響き。間近で聴くと、フルートの歌口から吹き出される空気の流れが、かすかに音として感じられます。金属製の楽器でありながら、まるで木管楽器のような自然な響きを湛えています。さらにクルト・レーデルは、フラウト・トラヴェルソの名人でもありました。
もう一つの大きな特徴は、指揮者としての視点を併せ持っていたことです。フルートの魅力にとどまらず、音楽の内面へと深く踏み込み、作品全体を見通した表現を追求していました。とりわけバロック音楽では、即興的な装飾音を巧みに取り入れ、そのトリラーの美しさは格別です。ご本人は、フランス奏法を取り入れた最初のドイツ人であると語っていました。
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*フラウト・トラヴェルソ(伊:Flauto traverso)は木管楽器の古楽器の一種で、今日のフルート(モダン・フルート)の前身となった横笛です。
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*フルートのトリラー(独語:Triller)/(トリル 伊語:trillo)は、主音とその1つ上(長/短2度上)の音を素早く交互に往復する装飾音技法です。 語源は、イタリア語のtrillo「鳥のさえずり」からきています。
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Kurt Redel (1918-2013)
クルト・レーデル
クルト・レーデルは、ドイツの指揮者、フルート奏者。1918年10月8日、ブレスラウ(現在のポーランド領ヴロツワフ)に生まれる。
ブレスラウ音楽院にてフルート、ヴァイオリン、ピアノ、オーケストラ指揮を学び、1938年にはウィーンで開催された国際吹奏楽コンクールにフルート奏者として入賞した。
1941年、バイエルン国立歌劇場管弦楽団の首席フルート奏者に就任。ソロ・フルーティストとして、R.シュトラウス、C.クラウス、クナッパーツブッシュ、クーベリック、ケンペら名指揮者のもと、数多くのオペラやコンサートに出演した。
1946年から1956年にかけては、現在のデトモルト音楽大学の前身である北西ドイツ音楽アカデミーの教授としてフルートを指導。教え子には、カールハインツ・ツェラーやパウル・マイゼンなどがいる。
1952年にはミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団を創設し、指揮者兼独奏者として活動を開始。特にバッハ作品の演奏においては権威的な存在として高く評価された。
1960年代にはエラート・レーベルから、バッハ、ハイドン、モーツァルト作品を数多く録音し、レコード賞を受賞している。
また、約20年にわたり自ら創設したルルド音楽祭を率いるとともに、ヨーロッパ各地の主要オーケストラとも共演。その功績により、レコード大賞、パリ・オペラ座オルフェウス賞、エジソン賞、ドイツ連邦一等功労十字章など、数々の栄誉が授与された。
2013年、94歳で逝去。
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写真:モノラル録音 LPレコードの復刻盤より/ 萩谷康一さん所有
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🎶カール・ディッタース・フォン・ディッタースドルフ 作曲
フルートとオーケストラのための協奏曲ホ短調 より
第1楽章 モデラート クワジ アンダンテ
第2楽章 アダージオ
フルート・指揮:クルト・レーデル
演奏:ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団
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*モデラート・クワジ・アンダンテ:ほどよい速さで、アンダンテに近い感じ
*アダージオ:ゆっくりと、落ち着いて
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Carl Ditters von Dittersdorf
Concerto for Flute and Orchestra in E minor
I. Moderato quasi Andante
II. Adagio
Kurt Redel, Conductor & Flute
Munich Pro Arte Orchestra
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🔹 エンディング:
フランソワ・クープラン
恋の鶯
🪈 フルート: 萩谷康一さん Koichi Hagiya, Flute
🎹 ピアノ: 吉川由利子さん Yuriko Yoshikawa, Piano
François Couperin
Le rossignol en amour
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