
『ピアノ・グラニテ』は、ピアニスト伊集院紀子さんが、演奏機会の少ない名曲や作曲家をご紹介するコーナーです。今週はウクライナの作曲家、ミコラ・リセンコ(Mykola Vytaliyovych Lysenko)をご紹介くださいました。伊集院紀子さんによるピアノ演奏もお楽しみいただきました。
ミコラ・リセンコ
ドゥムカ=シュムカ Op. 18
Mykola Vytaliyovych Lysenko
Rhapsody on 2 Ukrainian Themes, Op. 18
Dumka-Shoomka
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ミコラ・ヴィタリヨヴィチ・リセンコ(1842 - 1912)
Mykola Vytaliyovych Lysenko
ウクライナ・クレメンチューク生まれのピアニスト・作曲家・指揮者・民族音楽学者。19世紀のウクライナの民族音楽の発展における中心的存在です。リセンコは幼い頃からウクライナの農夫の歌う民謡や詩に強い関心を持っていました。キーウ大学在学中に彼が収集と編曲を行ったウクライナの民謡集は、7巻にまとめられて出版されました。ハルキウ大学では生物学を専攻。音楽は私的に学んでいたに過ぎませんでしたが、ロシア音楽協会より奨学金を授与され、ライプツィヒ音楽院で音楽の専門教育を受けました。この時期、西側の作曲家の模倣をするのではなく、ウクライナの音楽を集めて発展させ、創造する重要性を悟りました。キーウへ戻ってからも、ウクライナを主題とした作曲を継続していたため、ロシア音楽協会は、親ウクライナ的な彼の作曲方針を援助しませんでした。結果、リセンコはロシア音楽協会との関係を絶ち、ロシア語の詩には決して曲をつけようとせず、また自作のロシア語への翻訳を一切禁じました。またオペラをいくつか書いていますが、ロシア語での上演を頑なに拒みました。声楽曲も多く手掛けていますが、ウクライナの詩人の作品に曲をつけたり、民謡を使用した作品を書いたりしており、こちらも、ロシア語への翻訳を拒んだせいか、あまり知られておりませんが、美しい作品が多く存在します。
リセンコは、1903年にリヴィウ音楽院を設立。そして後年、ウクライナ音楽学校(キーウ音楽院)を開校するための基金を立ち上げました。
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写真:
ピアニスト 伊集院紀子さん
Noriko Ijuin, piano
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