
今月も萩谷康一さんが、フルートの歴史的背景を交えて、分かりやすく、アカデミックな解説してくださいました。
<今月のテーマ>
*フルートの重要なレパートリーの中には、フルート以外の楽器や歌の編曲が多いのはなぜ?
*他の楽器や歌のために書かれた曲を自分で編曲するときの注意点!
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🪈 フルートの名曲の歴史的背景!
たくさんの名曲を演奏したいというのは、多くのフルーティスト達が望んでいること。
しかし、フルートのための作品がロマン派以降、少なくなりました。理由は音楽スタイルの流行によるもの。
フルート全盛期はバロック時代の後期で~
* バッハ Bach 、ヘンデル Händel :フルートのためのソナタを何曲も書いた。
* モーツァルト Mozart: フルート協奏曲を数曲、室内楽を数曲書いた。
* ベートーヴェン Beethoven : あるにはあるが主だった重厚なフルート曲は無し。
* ロマン派 シューベルト Schubert : 変奏曲を1曲書いた。
それ以後、フルートは氷河期 へ…
そして20世紀近く、ドビュッシー Debussyが登場するまで、音楽通でなくても知っているという作曲家の作品は出てこなかった…(名曲はあれど)
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🪈 他の楽器から編曲された曲を弾くときのアドヴァイス:
①編曲の元になった曲の楽譜を見る。作曲家が書いた原典版。
②オリジナルの楽器や歌の演奏を聴く。動画があれば視聴。指の使い方や、息の吸い方のタイミングを確認!
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🪈 自分で楽器や歌のために書かれた曲を編曲するときの注意点
その曲に出てくる音の高低差の範囲がフルートで出せる音域に納まっているか。また、その調整も必要ですが、曲の色が変わるというリスクがあることも考慮。
*モーツァルト Mozart が編曲した楽曲の例:
モーツァルトが自作のオーボエ協奏曲をフルート協奏曲に編曲、改作したとき、音形、メロディーもそれぞれの楽器が生きるように変えた。
オーボエ協奏曲は、ハ長調、 フルート協奏曲は、ニ長調に移調。
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🪈 萩谷康一さんのお考え!
自分で編曲をしてみると、また違う意味でフルートの楽しみ方を見つけることになります。もし気に入ったフルートの以外の曲がありましたら、自分で編曲することをお勧めします。フルートを吹くことの自己認識にも役立つと思います!
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番組へのメッセージ、フルートのご質問などもお待ちしております!
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写真: 萩谷康一さん、吉川由利子さん