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事前の予防が何より大切!登山外来に注目! 日本大学病院 登山外来/山岳医療救助機構 代表 大城和恵さん③

事前の予防が何より大切!日本の山での遭難死因第三位は「心臓死」!山岳地で心停止を起こすと救命が非常に困難です。そこで登山をする全ての人のために今週は、「登山外来」に注目!
お話を伺ったのは、日本大学病院 循環器内科 登山外来 山岳医、国際登山医学会副会長で、山岳医療救助機構 代表の大城和恵さんです!
大城先生の「登山外来」がある「日大病院」にお邪魔した様子をお届けしています。

大城先生は、2010年に日本人として初めて、英国国際山岳医取得され、2011年には、北海道警察山岳遭難救助アドバイザーに就任し、国内初山岳救助への医療導入制度を実現。さらに、同じ年、2011年に、札幌市にある現在 札幌孝仁会記念病院に「登山外来」を新設。そして、これまで、三浦雄一郎氏のエベレスト登頂のチームドクターや、「世界の果てまでイッテQ」登山部イモトアヤコさんのマナスル登頂チームドクターを務められています。そして、東京都内初の「登山外来」を2022年4月に、お茶の水にある「日本大学病院 循環器内科に開設されています。

三日目の今夜は、大城先生が、長年見守っている富士登山について伺いました!

大城先生は、2015年から、毎年夏の間、富士山八合目にある「富士山衛生センター」で登山者の健康を見守っていらっしゃいます。
この「富士山衛生センター」は、 富士登山の4つのルートのうち、最も短い時間で山頂を目指す最も険しいルートと言われる、静岡県側の「富士宮ルート」八合目、標高3250mにあり、日本一高い場所にある診療所。1962年から、夏の間だけ医師が交代で泊まり込み、なんと24時間体制で診療をされています。

環境省によると2024年の富士山登山者数は、約20万4千人。そのうち、「富士山衛生センター」がある「富士宮ルート」を利用した人は、5万3,218人。
資料によると昨年のピークは、登山道閉鎖直前の9月7日土曜日の1,993人と言われています。

そんな大人気の富士山。昨年2024年の夏、8合目にある「富士山衛生センター」を利用した登山者はトータルで370名。コロナ前は約400~500名でしたので少しずつ戻ってきているのではないかとのお話でした。

診療所を受診された方の症状をお聞きしたところ、大城先生が診察した方で一番多かったのが「高山病」。そして、「高山病」の人はほぼ全員と言っていいぐらい「 脱水」になってるそうです。なぜ、「高山病」の方が「脱水症状」になるのかというと、高いところに来ると息が「はあはあ」と呼吸の回数増えるため、吐いた呼吸から水分がどんどん逃げちゃうんだそうです。一方でトイレに行く心配をするため、あまり水分取れていないという方が多くて、ご自身が思っている以上に「脱水」になってる方が多いとか。

「高山病」そして「脱水症状」を回避するためには、やはりその高度にゆっくりと身体を慣らしていく事が大切とのこと。富士登山を始める5合目ですでに高所と言われる約2500m。普段私たちは、高度の低い土地で暮らしているため、5合目で1時間以上過ごし、お話をしたり少し散歩したりして、2500mで体を慣らしてから、ゆっくり登ってきて欲しいとのことでした。そして、登山を始める前に食事以外で最低500mlの水分を摂ることが推奨されています。

他に診療所を訪れた方に多かった症状はなんと「低体温症」。
「低体温症」とは、『深部体温が35℃以下に低下した状態』のこと。一般的に私たちの脳の温度は「37°C」。それが「35°C以下」に下がってしまうのを「低体温症」と言うんだそうです。体温を保つためには食べて体温を上げなくてはいけないんですが、「高山病」になってくると吐き気が出て食べれなくなってきてしまいます。そうすると体の中でエネルギーを作れなくなるので、まず体温が上がらなくなります。さらに登山の場合、標高高くなってくると気温が10°C以下に、そして風が吹いたり、雨が降ってくると体温を奪われていくので、一気に状況が悪化してしまうんだそうです。
大城先生からは、「ちょっと寒いなと思ったらもう危ない。山で寒いなと思ったら危ないと思っていただきたいですね。あと一緒に登っている仲間で、ちょっと元気がないなとか、そういう方の場合も、もう低体温症を疑った方がいいですね。もう高い山に行く時には、「高山病」「低体温症」がセットで来るんじゃないかぐらいに思っといていただいていいと思います。」

時間的にもゆっくりと余裕をもって登山されることが、なによりも大切なポイントのようでした。

詳しくは、下記の音声配信をチェックしてみてください。

大城先生による日本大学循環器内科「登山外来」は、完全予約制になります。
予約取得には日本大学病院 地域医療連携室までご連絡下さい。
電話03-3293-1711
受付時間: [平日]9:00~19:00 / [土曜日]9:00~13:00

また、山岳医療救助機構の「登山外来」のページをご覧ください。

日本大学病院 病院からのお知らせ
日本大学病院 循環器内科


山岳ドクターによる日本唯一の”山の医療”と”医療救助”の情報発信サイト
山岳医療救助気候
https://sangakui.jp/

富士山8合目の様子を伝えてくれる「 富士山衛生センター」
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