Keep Green & Blue - Fm yokohama 84.7

水圏環境リテラシーを高める「海街コミュニティ・スクール」について 東京海洋大学 佐々木剛教授④

今週は、私たちの暮らしと水環境に注目! 
スタジオにお迎えしたのは、「水圏環境リテラシー」の第一人者、東京海洋大学 海洋生命科学部 海洋政策文化学科教授で、「海街コミュニティ・スクール」の代表でもいらっしゃる佐々木剛さんです!
私たちの周りにある海や川、湖といった水辺を総合的に理解し活用する「水圏環境リテラシー」。
佐々木教授たちは、大学で科学的な知識を持ち、私たちを探求の世界へといざなってくれる「水圏環境教育推進リーダー」を数多く養成し、彼らによって今、水辺の総合的な探求の場づくりが、全国各地で行われています。
今夜は、岩手県宮古市の閉伊川での活動のお話から。
佐々木教授たちは、「水圏環境教育推進リーダー」の育成の場として、閉伊川の源流探索,川流れ体験,宮古湾での海洋生物の観察、流域にすむ人々へのインタビューを通して研究・調査が行われ、森川海のつながりを地域の人々に教材として提供されています。その閉伊川には海外からも訪れる方が多く、これまでに,台湾、フィリピン、中国、インドネシア、ベルギーなど世界各国の参加者から日本固有の自然観を理解できる活動として評価され、内閣府主催の「レジリエントアワード」で最高賞の金賞に輝いています。


佐々木教授からは、2016年、東京で行われた国際会議後のエクスカーション(視察旅行)でのエピソードをご紹介いただきました。「水圏環境教育推進リーダー」養成の一環として、学生が行っている閉伊川流域、源流、そして中流、河口での活動と同じ体験を海外からの研究者に体験してもらったんだそうです。
初日、源流付近の早池峰山の麓にある「早池峰山荘」に皆さんで宿泊した日のこと。閉伊川の源流には、緑の森の中にポツン、ポツンと民家があるんだそうです。その様子を見て、オーストラリアの青年から「あそこに民家があるけども、あの人たちはどういう立場ですか。レンジャーですか」と質問があったんだそうです。そこで佐々木教授は、「いや、違います。レンジャーではないんです。一般の方々です。」と、答えたところ、その青年が驚かれたんだそうです。その時、佐々木教授は、「なぜ驚くのかな」と不思議に思ったのと同時に、あることに気がつきます。「日本の方々は、先祖代々ずっとその生まれた育った場所をとても大事にして、自然環境を大事にして、そして日常生活を送ることがとても大事なんだという風に思ってる方々が沢山いらっしゃる」と。そして、「自然そのものを大事にすることがとても大事なんだという方々。こういった方々が、岩手県に限らず、おそらく全国各地にいらっしゃる 」とも。

佐々木教授からは、その後の研究から、「人との自然との繋がりの象徴になるのが神楽ではないかと。神楽がたくさん自然豊かな場所に あるんですよね。そして地元の方々にとってとても大事なお祭り、自然と人との繋がり象徴なんです。これも非常に価値があるなという事と、またそこには恵みと言うか、食べ物ですね、食べ物としての生き物の恵みがそこに存在しておりまして。で、そういったその人と自然との繋がりを大事にするっていう考え方ですね。これが、2016年に「関係価値」という 英語では「リレーショナルバリュー(relational values)」って言うんですけども、そういったその定義がなされております。で、これはあのカナダのインディアンの研究からスタートしてるんですけど、この日本にまさにこのリレーショナルバリューがたくさん全国各地にあるんですね。これをもっともっとね、皆でお互いに共有し合うということ、そしてまたそれを海外の方々にも発信していくっていうのは非常に価値があると思うんですよね。」と。

今夜は茨城県大洗町での活動についてもお話いただきました。都心から特急電車で1時間30分ほどの場所にある大洗町。三方を海 太平洋、川 那珂川 、涸沼という汽水域に囲まれ、自然豊かな場所でもあります。大洗町の公式イメージキャラクターは、小学生が考案した「アライッペ」。その姿はまるでメデューサのようにニョロニョロと全身を「しらす」が覆っています! 大洗の子どもたちに好きな食べ物について聞くと、子どもたちは目をキラキラさせながら、「生シラスに生卵をかけたごはん」だと。また、2023年12月に東京海洋大学水圏環境教育学研究室で開催された「第一回森川海街こどもサミット」には、大洗町の小学生 杉山兄弟が参加し「大洗の海・川・湖は、私たちを幸せにする力がある!」と大洗町愛にあふれた素晴らしい発表があったそうです。
佐々木教授からは、杉山兄弟の発表でとても感動したと。「自然に囲まれた場所でここで生活していることがとても嬉しいと。私たちにとってはなくてはならない場所だし、ここはもう日本一の住みやすい場所だというようなお話をされてました。本当に感動しましたね。それが小学生からの生の声で届くっていうのがすごく意味がありますよね。そうですね、やはりその地域に対する思いですよね。先ほど関係価値っていう話したんですけど、どれだけのその地域のことに思いを巡らして大事に思ってるのか、そういう地域を守る事が私たちにとってなくてはならないものだと。そしてまた友達も同じように地域、その自然を守りたいというような思いをですね、子供の頃から持っていらっしゃるっていうのはとても素晴らしいなという風に思いました。」と。

お話を聞いて、佐々木教授と「水圏環境教育推進リーダー」たちが、地域のみなさんと再発見する日本ならではの「水圏環境リテラシー」の発信に期待がたかまりました!

詳しくは、下記の音声配信をチェック!


また、東京海洋大学の佐々木教授たちと共に、地域で「海街コミュニティ・スクール」などの活動をしてみたい方は、海街コミュニティ・スクール事務局「海街新聞」までお問い合わせください。

そして、東京海洋大学 「海街コミュニティ・スクール」では31日土曜日に、都市部での水辺環境についての探求の場が開催されます。
高浜運河から始める 東京・港区型ブルーカーボン実証実験Vol.3
テーマは、「珪藻ってどんな生き物?港区でもできるブルーカーボンの可能性を探る」
会場:東京海洋大学前 品川キャンパス 白鷹館。
参加費:無料

詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

東京海洋大学 海街コミュニティ・スクール
https://oceantown.jp/

東京海洋大学 水圏環境教育学研究室

港南海街コミュニティ・スクール
https://oceantown.jp/tokyo-konan/

SNS X【公式】東京海洋大学海街コミュニティ・スクール
@oceantownjp

☆「あなたのサステナブルなこと」も番組に教えてください!

番組への感想もお待ちしています。
メールアドレスはこちら。
X(旧Twitter)では #847keep で感想をツイートしてくださいね。
 

top