
今週は、私たちの暮らしと水環境に注目!
スタジオにお迎えしたのは、「水圏環境リテラシー」の第一人者、東京海洋大学 海洋生命科学部 海洋政策文化学科教授で、「海街コミュニティ・スクール」の代表でもいらっしゃる佐々木剛さんです!
佐々木教授は、岩手県立宮古水産高等学校での高校教諭時代、水産生物を担当し、生徒たちの学習効果を高めるために岩手県の閉伊川(へいがわ)での魚類フィールド調査し、今までいないとされたワカサギを発見。ワカサギの生態学研究を生徒と一緒に取り組んでこられました。
2006年4月に、東京海洋大学へ移り、アメリカから発信されていた「オーシャンリテラシー」に触れ、さらに日本独自の海との特別な関わり合いを含めた「水圏環境リテラシー」の研究を始め、文科省現代GP「水圏環境リテラシー教育推進プログラム」を担当、水圏リーダーの育成を行っていらっしゃいます。
あまり聞きなれない「水圏環境リテラシー」。佐々木教授にかみ砕いて説明をしていただきました。
(詳しくは下記の音声配信をぜひチェックしてください)
佐々木教授:
水と私たち人間がどういう風に関係しているのかということを理解しようというところから始まっています。「水圏」の「圏」というのは、大気圏とかで使われるあの「圏」で、丸という意味です。地球全体を包んでいるという意味です。最初は「大気圏」という言葉が生まれ、それから「水圏」「陸圏」という言葉ができました。水圏というのは、海も、表層も、地下水も含めて、あらゆるものが地球全体を包んでいるという意味です。しかも、これが循環をしているので、グルグル回っているんですね。例えば海の水分が蒸発して大気圏に放出され、雨となって陸地に落ちるという循環によって、生物が誕生し私たちが生きているという事になります。地球全体の7割が水だと言われています。私たちの体にもかなりの量の水が入っていますので、密接に私たちの体と海の水は関係があると云う事になるんですね。私たちは水の恵みで生きているんだと、感謝の気持ちを持つことが大切だなと思います。
人間の周囲の事、そしてその周囲と人間との間には相互作用があることを示したものが「環境」という言葉です。水圏、地球全体の「水」は、私たち人間と相互に生き生きしている関係が密接にあるということになります。そして「リテラシー」というのは、そう言ったことを理解しましょう、そしてその理解を日常生活で活用していきましょうというものです。
この海山川の繋がりを感じ行動に表していく事が大切とお話される佐々木教授。「水圏環境リテラシー」の研究には、2000年代初頭にアメリカで議論され、2005年に発表された「海洋リテラシー」があります。佐々木教授はいち早くこの「海洋リテラシー」についてアメリカの研究者と交流を持ち、日本でも研究しようと持ち帰りますが、そこでアメリカと日本での「海」へのイメージの違いを感じます。
アメリカでは「海」は探求の場としてのイメージが強く、日本では魚を食べる生産の場という独自の伝統があります。佐々木教授は日本人にとって大切な歴史や文化があるということを盛り込み、日本独自の「水圏環境リテラシー」の研究をされています。
佐々木教授:
私たち日本人は島国に住んでいるので、あらゆる所に海があって川があり、山脈があって、蒸発した水が山にぶつかって流れ下る。豊かな水産資源が恵まれている中で私たちは生きている、ということを、日本の方々は意識はせずとも繋がりを大切にしてるんだなという事がわかりますよね。それが言葉化されていない。そしてそれを言葉にしたものが「水圏環境リテラシー」なんじゃないかなと思います。
豊かな地形を生かし育んできた地域の文化を未来へとなぐ「水圏環境リテラシー」。
今週お話を伺う佐々木教授のお話には、私たちが子どもの頃から学んできたことをダイナミックにつなげてくれるヒントが満載です。
明日は、佐々木教授が手がけている「水圏環境教育推進リーダー」養成について伺っていきます。お楽しみに!
今夜お話いただいた佐々木教授の研究について
東京海洋大学 水圏環境教育学研究室
https://www2.kaiyodai.ac.jp/~t-sasaki/
東京海洋大学 海街コミュニティ・スクール
https://oceantown.jp/
【公式】東京海洋大学海街コミュニティ・スクール SNS X
@oceantownjp
https://x.com/oceantownjp
東京海洋大学 「海街コミュニティ・スクール」では、
3月1日土曜日に、都市部での水辺環境についての探求の場が開催されます。
高浜運河から始める 東京・港区型ブルーカーボン実証実験Vol.3
テーマは、「珪藻ってどんな生き物?港区でもできるブルーカーボンの可能性を探る」
会場:東京海洋大学前 品川キャンパス 白鷹館。
参加費:無料
詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
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