
今週は、エシカルな海運ビジネスに注目!
スタジオにお迎えしたのは、「合同会社 海と緑の技術研究舎」代表平賀和徳さんです!
「海と緑の技術研究舎」は、今年の3月に東京海洋大学の認定を受けたベンチャー企業。地球環境の課題の一つ、CO2削減に貢献する事業を手掛けられ、海の海運業・水産業をはじめ、日本の食の自給率をあげるための農業や畜産といった一次産業の活性化をめざして設立された会社です。
今夜は、平賀さんたちが手がけている「船舶省エネ運航支援ツール」について伺いました。
車の省エネはずいぶん進んでいるように感じますが、船舶の省エネ化はどうなっているのでしょうか? 船舶は燃料をかなり多く使う乗り物のため、省エネは経費削減の中でもかなり大きな要素の一つでもあり、車と同じようハイブリッドや電気推進技術が開発されています。しかし高額な費用が掛かるため、なかなか導入には至ってないというような状況です。
ただ、省エネな装備導入以外にも省燃費化する方法はあるとのこと。1つは「ウェザー ルーティング」。これは天気を予測し、向かい風の海域を避けことで燃費削減する方法です。もう1つは、減速しての燃費削減する方法で、船舶は、車や飛行機と違って、海水がまとわりつく乗り物!そのため 船のスピードを上げれば上げるほど、船首側で作り出された波が船尾側でまとわりつき、引っ張るような形となってしまうため、船がスピードを出せば出すほど、その力が強くなり、3乗に比例して 燃料費が悪くなるというデータがあるんだそうです! 例えば時速20kmから40kmにスピード上げる時に燃料費が倍では無くて、3乗なので、2の3乗で8倍掛かるっていうこと!そのため、少し速度を落とすだけで消費される燃料も減るわけです。この方法を小田原港の漁業者に持ち掛けたところ、目の前に魚が走っているのに、それを見逃すわけにはいかず、難しいと言われたんだそうです。
そこで、平賀さんは、お金を掛けずに事業を継続できる方法を考えることが課題と小田原港の皆さんと研究を進め、船が作り出した波を飛び越えるスピードのポイントを発見し、このポイントを維持しながら運転することができれば、減速する必要無く、むしろ高速で走っても燃費削減を可能にすることができるそうです。次なる課題は、誰もがこの技術を使えるようにすること。そこで、アプリケーションの形で実現できないかと現在開発中で、GPS情報を使い船のスピードを割り出し、さらに、エンジンの回転数と燃料流量のデータを取得する必要があるのですが、そこはなんとエンジンの音で判別!それによって船舶の故障なども検知できるようにと、すべてアプリ内で完結できるものにしたいとお話されていました。
ちなみに、船の燃料費ですが、19tクラスで最低1日、5万円ぐらいは掛かるとのこと!年間にしたら相当な金額が経費として掛かってきます。日本の漁業・海運業を守るためにも、アプリケーションのリリースを急ピッチで進めているとのことでした。
そして、もう一つ、平賀さんが懸念されている問題が、今話題のブルーカーボン。二酸化炭素吸収として期待されていますが、海藻が増えることで、船舶のエンジンにまとわりついてしまったり、藻場が増えることで小エビも増え、エンジンを冷やすために海水を吸引している入り口が詰まってしまい、動けなくなって別な船にけん引してもらわなくてはならないことになることも。増やした海藻をどう消化していくのか、この問題にも平賀さんの会社「海と緑の技術研究舎」では取り組まれています。そのお話はまた明日!
船舶の省燃費化についてのご相談は、ぜひ「海と緑の技術研究舎」へ。
合同会社 海と緑の技術研究舎
https://m-sat.co.jp/
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