
今週は、犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム
特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」にお邪魔した様子をお届けしていきます。
お話を伺うのは、社会福祉法人「心の会」理事長で、特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」の施設長でもいらっしゃる若山三千彦さんです!!
2012年4月に横須賀市太田和に日本初となるペットの犬や猫と暮らせる特別養護老人ホームとして開設された「さくらの里 山科」。介護老人福祉施設として、100名、短期入所生活介護として20名の方が、ご自分の家としてくつろげる 全室個室体制の施設です。そのうち、40名の方が、犬9匹、猫9匹と共に暮らしていらっしゃいます。
全国では珍しい特別養護老人ホーム「さくらの里山科」を開設するにあたり、横須賀市とは綿密な話し合いがあったそうです。一番大事だったことは、特別養護老人ホームは公的な使命が強い老人ホームのため、定員がいっぱいであるとか、医療的に対応が不可能という場合を除いては、原則として入居希望者を断ってはいけないという義務があります。
だからこそ、ペットがいるからといって断るのもNGとし、もちろん、ペットが嫌いな方にも入居していただけるようにするために、4階建てのうち、2階だけをペットと一緒に暮らせるエリアとして隔離し、ペットアレルギーのある方も快適に過ごせるようにされています。
若山さんがペット同伴入居を目指されたのは、何か効果をきたしてではなく、純粋に犬や猫と一緒に暮らしたいという入居者皆さんが幸せになって欲しいという強い想いがあったからこそ。
家族であるペットと同伴入居された方の中には、末期がんで余命3ヶ月の状態で入ってきた方がいたそうです。その方は余命宣告を受けたら、残ってる時間がわずかしかないなら、もうこの子と離れたくないと言って、愛犬のポメラニアンのチロくんと一緒に暮らすことだけを望んで、入院もホスピスも拒んで、「さくらの里山科」に入居されてきました。
そしてチロくんと一緒に暮らして、余命3ヶ月の末期がんの状態とは思えないぐらい元気に過ごして、10ヶ月、比較的元気な状態で過ごしたそうなんです。そして、最後は念願通りチロくんに枕元で看取られて亡くなったそうです。
余命3ヶ月なのに、10ヶ月生きることができたのは、愛犬チロくんと一緒にいたからだと若山さんはお話されていました。
ちなみに、ペットたちと一緒に暮らすというところで、気になるのが、愛犬たちの散歩。
基本的にペットの世話も介護スタッフが行っていますが、散歩に関しては、大勢のボランティアの方が協力してくれているそうです。
また、敷地内には広いドッグランもあり、ペット同伴入居されている2階から直接外に出ることができるため、愛犬たちは1日に何回かドッグランでも時間を過ごすことができるそうです。
そして、同伴入居された方たちの中で、飼い主に先立たれてしまったペットたちは、ご家族が望む場合には、お世話代1ヶ月5000円と必要な実費は負担していただきますが「さくらの里山科」で最後までペットの面倒もみられています。
かつて、開設当初、ご夫婦と共に入居された愛猫チョロちゃんは、飼い主に先立たれてしまったあと、10年近く「さくらの里山科」で暮らしたそうです。
介護が必要となってしまった高齢者のみなさん、そして家族である愛犬・愛猫が共に最後まで幸せに暮らすことができる「さくらの里 山科」の様子は、昨年光文社から発売された石黒謙吾さんがお書きになった「犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム」、そして、若山さんが施設でのペットの様子を綴ったwebサイト「ヨミドクター ペットと暮らせる特養から」をぜひ覗いてみてください。
特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」
ヨミドクター ペットと暮らせる特養から
「犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム/石黒謙吾」光文社
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