
今週は、ブルーカーボンについて、この方に伺っています!
ジャパンブルーエコノミー技術研究組合の理事で
サンゴ礁や、気候変動と海洋生態系、さらには、ブルーカーボンの研究を
されている
公益財団法人 笹川平和財団海洋政策研究所 海洋政策研究部 上席研究員 渡邉敦さんです!
渡邉さんが、24年前に海の研究を始めるきっかけとなったのが、
世界中の海で起こったサンゴの白化現象でした。
1998年に沖縄のサンゴの白化現象の調査に携わり、
こういった気候変動の影響が実際に海の生態系に現れるのを目の当たりにしたことで
研究をして対策をしなくてはいけないと思われたそうです。
その後、サンゴの白化現象は、何年かに一度起こっており、解決されておらず、
さらに、海洋の温暖化によって、南から暖かい海に生息する生き物たちが北上し、
いままで獲れていた魚がとれなくなるなど、海の生態系の変化が
社会に影響を及ぼしているというのが、この20数年間の出来事となっています。
また、海に対する人間の影響を大きく印象付けたのはプラスチックの問題
海洋プラスチックごみ問題です。
サンゴの大規模な白化現象は、渡邉さんが研究を始めた1998年の後、
沖縄では2007年、2016年、2022年と6年から9年ごとに起こっています。
こういった白化が起こった時に、回復するかどうかというのは、
どれくらいの頻度で起こるかというのと、
もともとそこのサンゴが健全に生息しているかという、この二つが関わってきます。
サンゴ礁のある海の健全性が守られているかどうかというのは、
海に、非常に大きな負荷、例えば陸から土砂が流れ込んでいるとか、
栄養物質が流れ混んでいると、海の環境悪化し
サンゴの回復力も下がってしまいます。
サンゴの養殖活動も行われていますが、
まずは、サンゴが健全に過ごせる環境を取り戻していかないと、
移植してもうまく育たないという事が起きてしまいます。
なので、実効的にサンゴ礁を再生させるという事には
なかなか繋がらない現状があるようです。
海の環境を守るために、法的力も必要になってくる中で、
今月、3月4日には、公の海の海洋生物を保護するための法的拘束力のある
「新しい海洋条約」に約200カ国が合意しました。
これまで、国連では、国家の管轄外区域の生物多様性を守るための交渉が、
長年行われてきました。
昨年の12月にモントリオールで開催されたCOP15で、
世界は海の30%を守っていくという宣言がされました。
この30%は、各国の排他的経済水域の30%という事ではなく、
公海も含めて30%を守っていこうという事です。
地球の7割は海ですが、そのうちの約7割は公海となるので、
そういった意味で地球の半分は公海ということです。
この公海の生物多様性や海が吸収する二酸化炭素、熱を吸収する機能は
莫大な影響があります。
ただし、とてもアクセスの悪い場所だけに、研究・観測が進んでおらず、
その分かっていないものをどう守っていくのかという課題はありますが、
今回の条約に多くの国が合意したという事は大きな事です。
渡邉さんは世界の海洋に関する政府への提言やシステムなどを作るために
世界の海を飛び回っていらっしゃいます。
先月は、パナマやドミニカ共和国、マルティニークや、セントルシアに
行かれていたそうですが、日本の私達からみて地球の反対側になるだけに、
とても学びが多かったそうです。
海を観光資源としている国も多く、様々な海洋問題を抱えているそうです。
一つは、大西洋にはいない、外来種 ライオンフィッシュと言われるカサゴが増え、
問題となっています。
そして、もう一つは、大型の海草のサルガッサム。
大西洋には、サルガッサ海と言われる海域があるんだそうです。
そこでは、これまで、サルガッサムが渦を巻いてい漂っていたのですが、
一部が分離してアフリカ東岸に流れて、それが海流によって
ブラジルにたどり着き、その後、繁殖して、カリブ海の海岸に打ち上げられているんだそうです。
その量がとても多く、海岸では数メートルにも積み上がり、
腐敗すると硫化水素が発生し、沿岸の環境に悪影響を与えています。
海洋を観光地としている国々が多く、一つ一つの国が小さいため、
対策を取るにも難しい現状があるようです。
世界の先進国は、海流の流れを予測して、サルガッサムの流れや
ゴミとするのではなく資源として活用するなど、世界の技術で協力することが
出来るのではないかと話合われています。
CO2削減にとってブルーカーボンは、有効と考えられていますが、
一方では、問題も引き起こしているという現状もあるということです。
詳しくは、下記の音声配信をチェックしてみてください。
公益財団法人 笹川平和財団 海洋政策研究所
ジャパンブルーエコノミー技術研究組合