
今週は、ブルーカーボンについて、この方に伺っていきます!
ジャパンブルーエコノミー技術研究組合の理事で
サンゴ礁や、気候変動と海洋生態系、さらには、ブルーカーボンの研究を
されている
公益財団法人 笹川平和財団海洋政策研究所 海洋政策研究部 上席研究員 渡邉敦さんです!
ブルーカーボンは、海で育つマングローブや海草、海藻が吸収するCO2の事。
これらは、陸地の木々とは違い、自分の体のみならず、地中にもCO2を貯める事ができます。
それらのCO2は、海水に守られて、何千年も地中に貯められているんだそうです。
そういった事を行う生態系をブルーカーボンと言います。
では、ブルーカーボンと日本の相性はいかかでしょうか?
日本は、海に囲まれた国だけに良いのではないかと。
実は、日本の周りには海が深くなっている場所が多く、
海藻や海草の一部は、私達人間が食しますが、
育つうちにちぎれたものが、海底深くに蓄えられるので、
多くのCO2を貯められるのではないかと考えられています。
ただし、日本は高度成長期に沿岸の開発などで、
海草や海藻が減ってきてしまいました。
ブルーカーボン再生の機運が高まってきた今、元の状態に戻し、
次の世代へとつなぐことが出来るのではないかと考えられています。
海草・海藻の養殖技術にも期待が高まりますが、
現在、神奈川県の葉山などでは、カジメの養殖が始まっています。
カジメを食べてしまうアイゴなどが食べつくして、磯焼けしてしまいましたが
成長が早い株を見つけて育てる事で一部では成功している所もあるそうです。
ちなみに、ブルーカーボンが盛り上がっている日本の地域は、瀬戸内海!
ブルーエコノミー技術研究では、ブルーカーボンのクレジット化を始めていますが、
2022年度に認証したプロジェクトの半分以上は
瀬戸内海なんだそうです。
瀬戸内海は、もともと海の環境の悪化から再生する時に
ブルーカーボンを軸とした活動をとられ、法などの整備をされてたこともあり、
さらに、水質もよくなったことで、光合成をする海藻・海草だけに、
光が海の中に入るようになって、良い環境となっているそうです。
では日本がブルーカーボンで成功するには、どのような事が必要となるのでしょうか?
日本の場合、ブルーカーボンの50%を占めるのが、海藻と言われています。
日本はかつてから、ワカメや昆布などの海藻の養殖など技術があり、
大規模に育成させることができれば、ブルーカーボンで貢献できるのではないかと
みられています。
ただ、これまで、東アジアだけでの食材などとしての利用がされてきましたが、
ブルーカーボンが世界的に注目されることで、それまで食してこなかった欧米の国々でも、
スーパーフードと人気が高まり、さらに、新素材や堆肥、エネルギーとして活用できないかと
研究が進んでいます。そんな今だからこそ、日本の高い技術を持って世界を牽引できるよう
情報発信をしていく必要があるという事です。
そんな今、海洋問題一つとして、海の酸性化があります。
海水は、若干ではありますが、もともとPh8.2くらいのアルカリ性を帯びています。
これが、二酸化炭素が海中に溶け込むことで、酸性に傾きつつあります。
海洋酸性化は、海洋温暖化と合わせて、ツインでビルズと言われています。
この問題は、地球規模の問題なんですが、地域地域では悪影響が現れ始めています。
アメリカの西海岸では、酸性化の影響でこれまで行ってきた養殖が出来なくなってきているんだそうです。
海洋酸性化は殻を作るカキやサンゴに影響を及ぼしますが、
そういった場所に近くに藻場を作る事で、海草・海藻がCO2を吸収することで
局所的ではありますが、酸性化の影響を少し緩めてくれると言われていて、
殻を作る生き物とブルーカーボンの生態系が一緒に分布しているということは
今の生態系を守るヒントとなりそうだということです。
ただし、藻場がしっかりと効果が現れるまでには、10年ほどかかると
言われているだけに、長い時間が必要となります。
詳しくは、下記の音声配信をチェックしてみてください。
公益財団法人 笹川平和財団 海洋政策研究所
ジャパンブルーエコノミー技術研究組合