
『ピアノ・グラニテ』は、ピアニスト・伊集院紀子さんが、演奏機会の少ない名曲や作曲家をご紹介するコーナーです。伊集院紀子さんによる演奏もお楽しみいただきました。今週は、番組でも何回かご紹介している2名の作曲家、パンチョ・ヴラディゲロフ(ブルガリア)と野平一郎さん(日本)の作品でした。
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Vladigerov, Pancho (1899 – 1978)
パンチョ・ヴラディゲロフ
<プロフィール>
1899年、スイスのチューリッヒで生まれる。幼少期は、ブルガリアのシューメンで過ごす。その後ベルリンで音楽を学び、ベルリンの劇場の音楽監督になったが、ブルガリアに戻ることを決意。1940年にはブルガリア国立音楽院のピアノ科の教授に就任。ブルガリア現代音楽協会の創立メンバーとして活躍。ヨーロッパの普遍的な鍵盤楽器のスタイルにブルガリアの民族的イントネーションやリズムを融合させ、独自の世界観を生み出し、多くの曲を作曲した。
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🎹 シューメン 作品29は、全部で6曲の小品からなる組曲です。
番組では以前、「シューメン作品29 」の中の1番目の子守歌(Berceuse)、3番目の農民の踊り(Danse des Paysana、)4番目の歌(Chant)、および5番目のユモレスク(Humoresque) 紹介していただきました。今回は、第4番 チャントと第6番ラチェニツァです。
シューメン(Shumen )は、彼自身が幼少期を過ごした土地。
1934年に作曲。当時、生まれたばかりの自身の息子、アレクサンダーに捧げられました。
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野平一郎 さん
Ichiro Nodaira
<プロフィール>
野平一郎さんは、1953年に生まれ、東京藝術大学、同大学院修士課程を修了後、1978年よりフランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に、作曲を間宮芳生、ベッツィー・ジョラス、セルジュ・ニグの各氏に、ピアノ及び伴奏法を高良芳枝、アンリエット・ピュイグ=ロジェ各女史に学ばれました。コンピューター音楽や電子音響音楽も学ばれた後、1990年帰国後はピアニスト、作曲家として幅広く活躍されています。
ピアニストとしてはフランス国営放送や日本の主要オーケストラとソリストとして共演されたり、CDのリリースも多岐に渡ります。室内楽奏者としても高く評価され、国内外の著名人と数多く共演されています。
作曲家としては、4曲のフランス文化庁委嘱作品を始め、スペイン文化庁、ベルリンドイツ交響楽団など、数多くの委嘱作品があり、ロック界の鬼才、スティーブ・ヴァイ氏のギター独奏によって初演されたエレキギター協奏曲「炎の弦」、ドイツの音楽祭で初演されたオペラ「マドルガーダ」など、絶賛を博しておられ、数々の音楽賞、芸術賞も受賞されていらっしゃいます。
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🎹 こどものためのピアノ曲集 音の旅
ムジカノーヴァという音楽月刊誌上に昭和60年4月号から61年1月号まで掲載された30曲の小品に加筆修正の上まとめられたものです。そして、この曲集は野平さんの主要作品が出版されているパリのルモワンヌ社から「版画-若いピアニストのための30の小品集」としてフランス版も出版されています。
この曲集は、こどものためというタイトルが付けられていますが、大人と遜色ない表現を盛り込むことによって子供の音楽理解の可能性を信じ延ばしたいという想いがあったと語られています。
前回、番組でご紹介したのは、第2番 子守唄、第4番 メリー・ゴーランド,第8番 フランスのうた、第20番 小さなエチュードⅢ、第27番 林の中の散歩道(さんぽみち)。今回は、第17番 リズムの遊び と第9番 夕暮れの情景です。
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写真:ピアニスト 伊集院紀子さん
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