花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売している、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。
武居>内藤さん、今日はどんなお話でしょうか。
内藤>先週の妄想ワールド「もしもバラがなかったら」に引き続き「妄想ワールド・バージョン2:もしも輸入の花がなかったら」について妄想を膨らませてみたいと思います。
武居>輸入の花がなかったらどうなるのでしょうか。「バラがなかったら」と違って、意外と想像するのは難しいかもしれませんね。
内藤>そうですよね。まずわかりやすい所で紹介すると、カーネーション、ありますね。
武居>はい、カーネーション。1年中流通しますが、特に母の日には流通量が多くなりますよね。
内藤>その通りです。だいたい年間で7割くらい輸入に頼っています。とりわけ需要が高まる母の日に向けては、ほぼ9割が輸入になります。
武居>え?!っていうことは、もし輸入がなかったら、9割の人はカーネーションが買えない可能性が出てくるってことですか?
内藤>単純計算で行けばそういうことになりますね。10本買えたところが1本しか買えないとか、むしろ生花のカーネーションを買えるのはめちゃくちゃお金持ちだけとか・・・母の日のカーネーションは、数量が圧倒的に足らなくて、カーネーションをプレゼントできる人はすごい!という話になってしまうかもしれません。
武居>となると、みんな花を買うのを辞めて、お菓子とか、お食事とかになってしまうかも。母の日に花を買う文化が廃れてしまうってこともあるかもしれませんね。
内藤>そうなんです。花が高値になって、花を贈る文化自体が「高嶺の花」になってしまうかもしれません。いま気軽に花を贈る文化があるのは、輸入の花のお陰なんです。
武居>ちなみに私は、キングプロテアとか南アフリカから届く花が好きなのですが、プロテアなどのネイティブフラワーとかも手に入らなくなるということですよね?
内藤>その通りです!ネイティブフラワーはほとんど輸入に頼っています。キングプロテアとかは切り花を国内で生産するのは極めて難しいんですよね。生産できたとしても、1本の単価がとても高くなって、なかなか手に入るものではなくなってしまいます。
武居>となると、ネイティブフラワーのほかにも手に入らなくなるものがありそうですね。
内藤>鋭い視点です、武居さん。例えばラン類。オンシジウムとかデンファレとかコチョウランの切り花とか、結構ランの花は輸入に頼っています。
武居>しかも、ランなのにとてもお花屋さんでもリーズナブルに販売していますよね。
内藤>その通りです。国産もゼロではありませんが、輸入は適地適作で、それぞれのランの生育に適した環境を日本よりはローコストで整えることができるので、効率的に生産・出荷しているのです。
武居>なるほど。では、やはりランも“もしも輸入がなかったら”、ほぼ手に入れることは難しくなってしまいますね。
内藤>そうです。ほかにも先々週、このコーナーでご紹介したとても大きいヤシのビスマルキアなどは日本で生産しているところはどこもありませんし、例えばバラやキク、カーネーションの中でも、輸入だからこそお会いできるスペシャルな品種がたくさんあるのです。
武居>日本とは異なる植生で海外ではユニークなものがいろいろあるので、その特性を生かして、バラエティ豊かに輸入されるのですね。
内藤>そうなんです。ほかにも輸入の花が果たしてくれる役割は大きくて、例えばほかの国で流行っているトレンドの花を日本のマーケットにも紹介してくれて、トレンドを世界同時多発的に広める役割もしています。
武居>たとえばどんな花がありますか?
内藤>わかりやすいところでいけば、ナズナの切り花。
武居>え、意外にも、ナズナが?
内藤>もちろん日本のあぜ道を見ればどこにでも生えているものですが、最初に日本の市場に並んだのは、イスラエルからの輸入のナズナでした。
武居>え、それは意外かも?
内藤>意外ですよね。私も初めてナズナが仲卸さんで販売されているのを見た時は衝撃でした。え、ナズナが商品になるの?と。
武居>今では当たり前の花も、最初は驚きですよね。
内藤>そうなんです。そこから人気に火がついて、国内でもたくさん作られるようになって、今ではお花屋さんでは標準装備の花となりましたよね。現在では輸入と国産両方あります。
武居>そう考えると、輸入が果たす役割は大きいですね。量の点、バラエティの点、そして花の文化の点から、もはや花の輸入は日本には欠かせない産業なのですね。
内藤>そう言えると思います。母の日だけでなく、年間でも最大の需要期であるお盆お彼岸のお墓参りの花も急に足りなくなって、花をお供えする文化も廃れてしまうでしょうしね。
武居>ということで今日は「【妄想ワールド②】もしも輸入の花がなかったら・・・ 」をテーマにお話いただきました。内藤さん、ありがとうございました。。
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