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NITTEN ハナラボ 第240回「 今の季節だけに流通するレアな花・ヒマ 」

花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売している、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。

武居>内藤さん、今日はどんなお話でしょうか。

内藤>武居さんが大田市場に初めていらしたときに、「あ、これ素敵!」と手に取られた花、何か覚えていらっしゃいますか?

武居>不思議な形とピンク色が素敵で手に取ったのを覚えています!

内藤>ピンク色の大きな「トウゴマ」という植物でしたね。「ヒマ」と呼ばれることもあります。ちょうど2年前くらいだったと思いますが、今の季節だけに流通する季節性の高いものです。

武居>葉っぱも大きくてパッと飾っておくだけでも素敵なお花ですよね。

内藤>もともとは、エチオピアとかソマリアなどの東アフリカ原産の植物で、植物としては古くから人と深い関係にありました。

武居>観賞用ばかりではないということですね。

内藤>はい。古代エジプト以来6000年の長い歴史を持っていて、下剤などの薬用に使われてきました。中国には7世紀、日本には10世紀に、現在は世界各地に渡来して生産されているのですが、ひまというだけに、ひまし油の原料となっている植物なんです。

武居>ひまし油って、保湿力が高くて、美容や健康に良い効果があるというオイルですよね。アーユルヴェーダとかで使ったりしませんか?

内藤>そうなんです。長さ1-2cmの楕円形のタネができるのですが、このタネ(種子)の中にある胚乳の50%が油でできていて、それを絞って精製したのがひまし油。世界最大の生産国はインドで、アーユルヴェーダにもよく使われるんですよね。

武居>キャスターオイルとか言われたりしますよね。

内藤>そうです。ヒマのことを英語でキャスターというらしく、そこからひまし油のことをキャスターオイルっていうみたいですね。保湿剤としてつかわれるばかりでなく、口紅とかマスカラなどのお化粧品の原料にも使われますし、
自動車のエンジンオイルとか、塗料の原料とか、朱肉の材料にも使われていますし、お洋服を作るポリアミド(=ナイロン)の原料になったりもするんです。

武居>そうなんですね!

内藤>オイルが重宝されたみたいで、第二次大戦後には、長野県で作られたヒマを原料にポマードが生産されたといいますし、現在でも多くは工業製品用に生産されている、あるいは、工業製品用に作られたものをインドなどから輸入しているのですが、ピンク色などのかわいい園芸品種を観賞用に生産しているのは国産のみです。主に山形県や長野県、茨城県などから9月をピークに出荷されます。

武居>では、ちょうどいまが出荷のピークなんですね。

内藤>はい。タネができて、ヒマは花が終わって、実ができた時にイガイガの小さな栗のような、コロコロとしたサボテンのようなマリモサイズの実がたわわになったものが出荷されます。

武居>そのイガイガの実が、赤だったりピンクだったりして、かわいいんですよね。

内藤>生産している人や地域も限られていますし、ヒマはかなりレアな品目です。もちろんお花屋さんで注文すれば仕入れてもらえると思います。私にとってはかなり印象深い花の一つで、武居さんと最初にお会いしたあの日、武居さんにとっては恐らく初めての大田市場だったと思うのですが、どの花をご覧になって反応されるかな~なんて思っていたんですよ。ちょっと珍しい感じのバラとか、大きなケイトウとかかな~と普通思ったりするんですけど、「これ素敵!」と指さしたのがヒマだったので、本当に驚きました。武居さんの花を見る目の円熟度というか、センスの高さにお見それしたことをよく覚えています。それまで、ヒマが花き市場に並ぶことは知っていても、あまり接点がなかったんですよ。自分で使ったりとか、何かの機会に紹介したりとかっていうのもなかった。でも武居さんのお陰で、ぐっとヒマとの距離感が近くなり、出荷されるたびにすごく注目するようになり、興味を持つようになったんです。これも武居さんのお陰です。

武居>ということで、今日は「今の季節だけに流通するレアな花・ヒマ」をご紹介いただきました。
内藤さん、ありがとうございました。

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