
花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売している、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。
武居>内藤さん、今日はどんなお話でしょうか。
内藤>もうそろそろ9月に入りますが、9月は統計的に赤ちゃんが生まれる数が最も多い月なんです。
武居>よくそのように聞きますよね。
内藤>そこで今日は、こどもの名前に使われる“植物に関する漢字”についてご紹介したいと思います。今週は、女の子の名前に使われる漢字を、来週は男の子の名前をご紹介したいと思います。ベビー用品を中心に、全国120店舗以上を展開するアカチャンホンポの調査によると、2024年に生まれた女の子3,111人のお名前で、最も多かったのは「凛」ちゃんです。
武居>「凛とした」とか「凛々しい」の凛ちゃんですね。
内藤>はい。この漢字自体は、直接的には植物に繋がっていないのですが、上位の名前に植物関係の漢字は結構使われているんです。例えば3位にランクインしている「ひまりちゃん」。太陽の陽に、植物の葵と書いて、ひまりちゃん。
武居>かわいい名前ですよね。「葵」一字だけで、「あおい」ちゃんっていうお名前も多いですよね。
内藤>はい。アオイちゃんは、2024年の調査では第9位でした。アオイは徳川将軍家の御紋になっていることが有名ですが、もともと葵は京都の賀茂神社で神聖な植物として扱われ、加茂神社の紋にもなりました。
武居>あおい」という響きが、すごく透き通っている感じがしてきれいですが、なぜ「あおい」とよばれるようになったのでしょうか。
内藤>葵は、葉が太陽に向かって動く様子から、「仰ぐ日(あおぐひ)」が「あおい」と変化したという説が有力です。
武居>つまり太陽の光に向かって成長する性質を示した漢字というわけですね。
内藤>そういうことです。ひまりちゃんとかアオイちゃんというお名前には、太陽に向かってすくすくと成長するように、という思いが込められているのではないかと思います。
武居>今の季節、アオイの花があちこちで咲いているのを見かけますよね。
内藤>はい。すっと伸びた花茎に、エレガントで美しい花が次々と咲く姿は、とても印象的ですよね。そんな元気いっぱいのアオイになぞらえて、お子さまの名前を付けるお気持ち、わかりますよね。またそのほかに、4位に美しい桜と書いて「みおちゃん」がランクインしていて、これはもう皆に愛されるサクラのように、丈夫で美しく育ってほしいという願いが込められていますね。
武居>そうですね〜。みおちゃんも、名前の響きも漢字も素敵ですね。
内藤>そして7位に「りおちゃん」がランクインしています。草冠にご利益の利と、「お」は「鼻緒(はなお)」の「お」とか、「一緒」の「緒」と書いて、りおちゃん。莉緒ちゃんの“莉”の字はジャスミンの花を意味します。やさしく香る花のように、人の心にそっと寄り添う人になってほしいという思いが込められているのではないでしょうか。
武居>ジャスミンの花、ですね。この莉の字を使って「茉莉花」(まりか)ちゃんっていうお名前もよく見ますね。
内藤>マツリカ(茉莉花)と書いて「まりか」ちゃんという方もいらっしゃいますね。マツリカは、別名アラビアジャスミンとも呼ばれる植物で、香りの良い白い花を咲かせます。香りがいいので、ジャスミンティーにも使われる植物です。
武居>白くて清純な感じのきれいな花をつけますよね。
内藤>もともとは、サンスクリット語で「マリカ」と呼ばれます。
武居>美しく、親しみやすく、そして自然の恵みや四季を感じさせる漢字ですね。
内藤>漢字の意味が持つ奥行きを知ると、名づけた方の願いや思いを読み解くことができますよね。植物の名前が人の名前に使われるのは、自然からの贈りもののようでもあり、「この子が、花のように愛され、植物のようにすくすく育ちますように」という、そんなご両親の願いが込められているのかもしれません。
武居>ということで、今日は「こどもの名前に使われる“植物に関する漢字”〜女の子編〜」を
ご紹介いただきました。内藤さん、ありがとうございました。
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