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NITTEN ハナラボ 第234回「 トマトにまつわる逸話 」

花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売している、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。

武居>内藤さん、今日はどんなお話でしょうか。

内藤>今日は、夏野菜の代表とも言える、トマトのお話をしたいと思います!

武居>トマト!トマトって、花市場にも流通するんですか?

内藤>はい。トマトの場合は野菜苗とか、ミニトマトの苗などが春ころに流通します。トマトを家庭菜園で、ミニトマトをプランターで植えていらっしゃる方も多いかもしれません。野菜の中では産出額ナンバーワンで、国内生産ではトマトと切り花全体の産出額がだいたい同じというくらい人気の野菜ですね。そんな、誰もが知っているトマトの、誰も知らない(かもしれない)話をご紹介します。

武居>知られざるトマトのお話!気になります!

内藤>まずは、基本的なところからですが、トマトの原産地は南米アンデス高原、ペルーやエクアドルなどの地域です。それが16世紀にヨーロッパに伝わりましたが、最初は観賞用でした。食べなかったんです。

武居>花と同じ観賞用だったのですね。

内藤>はい。食べるようになったのは、18世紀になってからです。そして、さらに食用が広く普及した19世紀に「トマト裁判」が起こりました。

武居>トマト裁判!?そんな裁判があったのですか?

内藤>はい。1893年のアメリカで起きた裁判で、トマトが「野菜」か「果物」かが争点になりました。

武居>どうしてそんなことで裁判になったんでしょうか?

内藤>輸入の際に、野菜には関税がかかり、果物にはかからなかったため、トマトがどちらに分類されるかが争われたのです。アメリカでトマトを輸入する輸入業者は、関税を払いたくないため、果物であると主張し、ニューヨーク港・税関徴収官は、トマトを野菜として関税を課すことを主張しました。

武居>そういう理由だったんですね。

内藤>植物学者も巻き込み、トマトの分類を巡る議論が展開されました。植物学的には、トマトはタネを持つことから、果物の定義に当てはまるという立場と、いやいや植物学的な分類ではなく、日常的な食事における用途や栽培方法から、トマトを野菜でしょうという立場とで、論争が繰り広げられたわけです。

武居>その結果、どちらに決着したのですか?

内藤>裁判はアメリカの最高裁判所まで持ち込まれ、結局トマトは・・・「野菜」と判断されました。

武居>トマト裁判は野菜が勝利したんですね!日本でも野菜扱いですよね。

内藤>はい。日本における野菜か果物かの分類は、苗にできるものが野菜、樹木になるものが果実と分類しています。
ですから農林水産省では、スイカやメロン、イチゴも野菜として分類されています。

武居>国によって事情が異なっていて、面白いですね。ちなみに、トマトという名前はどこから来たのでしょうか。

内藤>どうやら、メキシコ先住民の言語で、ナワトル語というのがあって、ナワトル語で「トマトゥル」と呼ばれていたのが由来のようです。

武居>トマトゥルがトマトの語源なんですね!トマトゥルってどういう意味なのでしょうか。

内藤>トマトゥルの意味は「膨らむ果実」ということのようです。もともとは、食用ホオズキを指す言葉でしたが、形がよく似ていたため、トマトも現地では同じ名前で呼ばれるようになったようです。

武居>トマト裁判に始まり、知らなかったことばかり。トマトが国内の野菜の中で生産額ナンバーワンであることも、トリビアだったかも!

ということで、今日は「トマトにまつわる逸話」をご紹介いただきました。内藤さん、ありがとうございました。

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