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NITTEN ハナラボ 第225回「 お花の関税の事情 」

花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売している、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。

武居>内藤さん、今日はどんなお話でしょうか?

内藤>今、世界では様々なことが起こっていますが、アメリカ大統領のトランプさんが、
各国へ関税をかけている「トランプ関税」も話題になっていますよね。
この関税ですが、日本で流通する花には直接には関係ないのか、どうか気になりませんか??
そもそも日本に入ってくる輸入の花にはどのくらいの関税がかけられているのか。
トランプ関税で、日本の花にも何か影響を受けることはあるのか。

武居>気になります!

内藤>実はですね、生花について関税は、基本ゼロパーセントです。

武居>そうなんですか!?

内藤>はい。日本に入ってくる花も葉っぱも基本ゼロパーセント。
ほんの一部、アメリカから入ってくるクリスマスツリーなど、例外はありますが(それらも基本3%)、
生花の輸入品は昔から関税ゼロパーセントなんです。

武居>意外かも!結構いろいろな農産物に関税かかっていますよね。

内藤>財務省が発表している関税率表を見ているとこれがまたなかなか面白くて、多くの農産物、
例えば、ジャガイモとかトマトとかニンニクとかは基本5%で、
WTO協定という加盟国が自由に貿易協定に加盟している国は3%、そのほか国別にも設定されていて
シンガポール、メキシコからは無税とかなど、なかなか細かく決められているんです。

武居>では、今後日本国内で買う花が高くなるとかということは心配しなくていいのですね。

内藤>
ひとまずは(短期的にいえば)心配無用です。
ただ、関税バトルがいつまで続くのか、先日トランプさんが相互関税90日間停止と言ったりしていますので、
わからないこともありますが、今のところ影響は日本の花への影響は極めて軽微と思われます。

武居>ひとまず安心しました!

内藤>例えばもちろんですが、アメリカの花は影響があります。米国ではあまり切り花を生産していなくて、
販売される花の 65-70% はコロンビア産なんです。さらには、スーパーマーケットに並ぶ花束の約80%はコロンビア産なのだそうです。

武居>そんなに海外からの供給に依存しているものなのですね!

内藤>はい。コロンビアに対する花きの関税はこれまでが0%、トランプ関税がスタートしてから10%だそうです。

武居>となると、アメリカ国内の切り花は若干高くなる可能性が考えられますね。

内藤>可能性としてはあります。もしくは、10%くらいであれば米国の所得であれば吸収できるのか、
あるいはあまり関税が高くなるようであれば今後、アメリカ向けの花の出荷が減る可能性も考えられます。

武居>アメリカ向けに減らした花はどうなるんでしょう。

内藤>そこなんです。そうなると、アメリカ以外のマーケットに輸出される可能性が十分にあります。
もちろん日本向けにも。コロンビアでは、カーネーションやバラで、そのほかアジサイやアルストロメリア、
葉物が出荷されています。

武居>コロンビアと台湾とか世界でも有数の花生産国で作られた花が、関税によって行き場を失えば、
その花が日本に入ってくる可能性があるということですね。
となれば、潤沢に流通があって、値下がりする可能性もなきにもあらずでしょうか。

内藤>消費者の皆さんにとっては気づかないくらいかもしれませんが、可能性はあります。
ただやはり、アメリカとか世界全体で景気が低迷して、花を買わなくなることの方が懸念されます。
とはいえ、切り花の生産がほとんどないアメリカで、花を輸入しづらくなれば、
すぐに自国で花を作ろうといっても農業生産は一朝一夕に始められることでもありませんし、
やはり焦点としては、90日間の関税停止後の動向と、
トランプ関税がどのくらい続くかということになるように思います。

武居>ということで、今日は「お花の関税の事情」をご紹介いただきました。
石田さん、内藤さん、ありがとうございました。


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