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NITTEN ハナラボ 第209回「世界中のバラを集めたナポレオンの皇妃・ジョセフィーヌ」

花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売している、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。

武居>内藤さん、今日はどんなお話でしょうか?

内藤>先週、プラントハンターのお話をしたと思いますが、その続きで、世界中のバラを集めたある女性のお話をご紹介したいと思います。

武居>女性で??誰でしょうか?

内藤>
ナポレオンの皇妃ジョセフィーヌです。

武居>ジョセフィーヌ!名前はよく聞きますけど、植物好きとは知りませんでした。

内藤>そうなんです。もともとはフランスの植民地だったカリブ海にあるマルティニーク島の貴族のおうちに生まれ、最初はお見合いで裕福な貴族の妻となって社交界デビューしました。

武居>えっ最初の夫はナポレオンじゃなかったのですね。

内藤>じゃなかったんですよ。最初の夫をフランス革命で亡くし、ジョセフィーヌ自身も牢獄につながれたこともありましたが、革命やクーデターなどフランスの激動の時代に、6歳年下のナポレオンに見初められて結婚することになりました。

武居>なかなか波乱万丈な感じが伝わってきますね。

内藤>ですよね。もともとは知性と品格に溢れた人だったみたいですよ。でそのジョセフィーヌもカリブ海の自然豊かな場所で育ったので、植物が好きだったといいます。そこで、ナポレオンと結婚してさらに裕福になってからは、パリの郊外にあるマルメゾン宮殿で暮らしていたといいますが、植物学者を招いて世界中からその宮殿に植物を集めたといいます。

武居>なるほど、じゃあいろんな植物に憧れがあったっていうことなんですね。

内藤>ほんとですね。でまあ、性格的に、もともとジョセフィーヌは広く浅くというよりも、何かにとても執着して徹底的に極めるタイプだったようで、その対象の一つとなったのがバラといいます。

武居>えー、バラなんですね。



内藤>はい。バラの自生地は北半球のあちこちで、地域でいえば、ヨーロッパ、北アフリカ、中東、コーカサスからヒマラヤ地域、中国、韓国、日本にも原種があるように、亜熱帯から寒帯にかけて、砂漠のような乾燥地から鉱山帯、森林、海岸まで幅広い環境に適応して野生種が自生しているんです。

武居>たしかに、バラって本当に奥深いですもんね。そのあちこちに自生しているバラを集めさせたというわけですね。

内藤>そうなんです。しかもジョセフィーヌは、美貌、優雅さ、そして洗練された魅力で人々を魅了した女性とも知られています。スタイルが良くてファッションにお金を惜しまず、やさしさと温かさもあり、知性教養も兼ね備えていたらしく、多くの人々を魅了しました。その人がバラにはまった・・・つまり今でいえば、イギリスのウィリアム皇太子妃のキャサリン妃がバラの収集にはまっている感じでしょうか。

武居>なるほど。だからナポレオンもこの人だ!って思ったわけですね。やっぱりその、ファッションリーダーみたいな感じってことですよね。トレンドを作ってるってことで、たしかにバラに夢中となれば、周りの人への影響力が大きそうですね。

内藤>その通りです。パリではバラの愛好家が増えて、バラブームが起きたのです。

武居>いやすごいインフルエンサーっていうことですよね(笑)すごいですね。何品種くらい集めてたんしょうか?

内藤>宮殿にあったのが、250種にも及ぶといわれています。

武居>えー、いまって、1年間に市場に流通するバラの品種がどのくらいでしたっけ。

内藤>現在、市場流通で1000種くらいですから、その4分の1くらいは、ジョセフィーヌの趣味で集めてしまっていたということになりますね。

武居>えーすごい!ものすごいお金をかけていそうな気がします(笑)趣味の範囲を超えていますね。

内藤>そのとおりです。そのうちに集めるだけでは事足りずに、専門の育種家を雇って、こっちのバラとあっちのバラを交配して、新しいバラを次々を誕生させていったのです。

武居>もうなんか研究されてるような方みたいになってますよね!すごい、新しい品種も生み出してしまったなんて!

内藤>いま私たちが見る豊かなバラの数々は、世界中からバラを集めて、交配したこのジョセフィーヌの功績によるところが大きいと言えます。

武居>ジョセフィーヌって実は園芸界への功績がとても大きい方だったのですね。

内藤>ジョセフィーヌは様々な理由によってナポレオンと離婚を余儀なくされ、ナポレオンの失脚もあり一人でマルメゾンの館で花を愛でて暮らしたといわれます。でも、離婚後も、ナポレオンはジョセフィーヌを愛し続けて、オーストリアのマリールイーズと再婚してからも、よくジョセフィーヌのもとを訪れたといいますし、ジョゼフィーヌ自身もフランス社交界の重鎮であり続け、その魅力と気品で社交界から愛されたといいます。


今回は「世界中のバラを集めたナポレオンの皇妃・ジョセフィーヌ」のお話をご紹介しました。

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