
花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売している、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。
武居さん>内藤さん、今日はどんなお話でしょうか?
内藤さん>武居さん、先ほどからこのお部屋一帯で、いい香りがしていると思いませんか?
武居さん>いやもう本当に入って来た時から、わ〜素晴らしい香り!!思ってたんですけど・・・
内藤さん>これは、今日ご紹介する花、ロウバイと日本ズイセンの香りです。ロウバイ
日本水仙
武居さん>いや〜いいですよね。ロウバイって本当に香り高いですよね。
たしかにでもちょっと似たような香りがしている気がするんですけど・・・
内藤さん>そうなんです。2つとも似た香りといわれています。
とはいえ、それぞれに若干異なると思いますので、もしよろしかったら、それぞれに香ってみていただけますか。
武居さん>はい、まずロウバイですね。
うん、本当に華やかな・・・すごく甘いお花の香りがしているですけど・・・
スイセンは・・・あっでもスイセンの方がちょっとこう、凛とした雰囲気があるというか。
すごいロウバイがまろやかなのに対して、よりちょっと香りが強くて、凛とした雰囲気がある気がしますね。
内藤さん>そうですね。日本ズイセンの方が、こっくりとした香りがあるかもしれませんね。日本スイセンはロウバイのほかに、ジャスミンとヒアシンスのような甘さを持つと表現されることもあります。その甘さのほかに、針葉樹の葉に多く含まれるさわやかなグリーンの香り、柑橘のようなシトラスの香り、ユーカリに含まれるようなハーバル調のグリーンの香り、多くの花に共通するフローラルの香り、スズランやヒアシンスに含まれる香り、シナモンに含まれるスパイシーな甘さなど、あらゆる香りの成分を含み、複雑に調合されている天然の芳香剤といった感じなんです。
武居さん>いやすごいですね。日本ズイセンの香り一つで、香水が出来ているような感じなんですね。
内藤さん>そうなんです。で、その完璧なまでの香りに似ている花が、ロウバイなんです。
そしてこれは、香気成分で共通しているものが多いからなんです。
例えば、「リナロール」というフローラルの香りの成分があるんですが、この成分を多く含んでいて、他にも、スイセンやロウバイばかりではなく、キンモクセイ、沈丁花、ジャスミンなど多くの花に含まれています。
武居さん>いわゆるフローラルとして思い浮かぶお花には、だいたい入ってるっていうことなんですね。
内藤さん>はい。そして、今日は香りを作る元になる成分のサンプルを持ってきましたので、もしよかったら匂いを嗅いでみてください!
武居さん>リナロールの香りをかいでみますね!
あぁこれ嗅いだことある感じの・・・でも、結構酸味のあるような、柑橘系のような感じもありますね。
内藤さん>リナロールは、強力な鎮静作用、鎮痛、抗不安、血圧降下、殺菌作用などがあるとしてアロマセラピーの精油にもよく使われます。
武居さん>この香りのパレットを嗅いでいるみたいで楽しいですね!
しかもこんな香りのサンプルがあるなんて知りませんでした。
日本ズイセンもロウバイも、日本の花なんですか?
内藤さん>実は両方とも日本ではありません!日本ズイセンの原産地は地中海沿岸部なんですよね。でも今は日本各地に群生地あります。私もある県から依頼をいただいて、淡路島とか千葉県とか日本ズイセンの名所に調査に出かけたことがあるのですが、地中海のように昼間は冬でもぽかぽかの日照量の多いところでした。それが中国を経由して、平安時代に日本に伝わったと考えられています。
武居さん>ロウバイも日本っぽい名前なのに、原産地は日本ではないっていうことなんですね?
内藤さん>ロウバイも、中国原産なんです。漢字では「ろうそく」の蝋に梅と書いてロウバイと読みます。
武居さん>確かにロウ細工のように繊細で美しく透き通るような花をしていますもんね。
上手な名前を付けましたよね。
内藤さん>そうなんです。17世紀、江戸時代に日本に渡来したといわれます。学名をChimonanthus praecoxというのですが、Chimonanthusがギリシャ語で「冬の花(chimon+anthos)」、praecoxがラテン語で「早い(early)」とか「貴重な(precious)」の意味なんです。
武居さん>なるほど、つまり早春に咲く貴重な花という意味なんですね。
たしかにこの香りを嗅いでいると、その学名の由来も納得しますね。
キャンドルとかってちょっとこっくりしたような香りがイメージされると思うんですけど、ロウバイもそのような香りがあるので、まさにっていう感じですよね!
ということで今日は「早春を彩る香りの花、スイセンとロウバイ」をご紹介しました。
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