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NITTEN ハナラボ 第163回「ひな飾りと、桃の意味」

花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売していらっしゃる、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。

今日は3月3日、桃の節句ですね。
桃の節句といえば、ひな祭り。
多くの方が「ひなまつり」の歌はご存知だと思いますが、、
ひな祭りの歌は「あかりをつけましょぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花」と歌いますよね。
でも実は「お花をあげましょ 桃の花」と歌っているのに、
実際に飾るひな人形のひな壇には、桃の花がないってご存知でしたでしょうか..?



雛飾りには、花や実が付いた樹木は2つ飾ってありますが、あれは桃ではなく桜。
ひな人形の定型で飾られるのは、桜ともう一つ、オレンジの実がついているのは、橘(タチバナ)という樹木なんです。
橘は、簡単にいうとミカンのことです。古代ミカンで、シトラス・タチバナという学名なんです。
タチバナは漢字で書くと、柑橘の橘の字で、昔から日本にあるミカンの樹で、
古事記や日本書紀に登場して、神聖な木とされていたようです。
橘は、今のミカンに比べるとかなりすっぱくて、そのまま食べるのには向かないようです。

雛飾りは桃ではなく、なぜ「桜と橘」なのかというと、どうやら、ひな人形の装飾が、京都御所のなかにある紫宸殿という、
天皇元服や即位の礼などの大切なイベントの舞台となった施設をモデルにしていることが理由なんだそうです。
また、桜も橘も古来から「魔除け」「邪気払い」の力があると考えられていましたし、
橘は常緑ですし、「不老長寿」の意味も込められているようです。

となると、なぜひなまつりが桃になったのかという疑問が・・・
これはおそらく中国からの文化との融合だからだと思います。
中国の詩人たちが、桃の花が咲く川辺で、花びらが落ちた川の水を飲んだり、
フジバカマなどでお祓いしたり、詩を歌って楽しんだそうです。

それが平安時代に日本に伝わって、天皇や貴族の人たちがこれに倣い、桃の花を浮かべたお酒を飲んだり、
水辺の薬草人形を作って、川に流したのだそうです。
桃の節句は、江戸時代にお祝いの日と制度化されました。

また、桃にも邪気払いの意味があって、古事記で、イザナギノミコトが死者の世界「黄泉の国」から逃げて戻ってくるときに追ってくる魔物に桃を投げてその魔物を祓ったとありますし、
鬼退治に出かける桃太郎も「桃」太郎なのは、邪気払いと健康や丈夫さからのようです。
中国の漢文でも、桃のきれいな花から大きくてふっくらした実ができて、
そのあとに若々しい葉が茂る様子を女の子の成長になぞらえている下りがあり、
桃の花のような美しさをもって成長すれば、円満な結婚と一族の繁栄を寿いでいるとあります。

桃は昔から、邪気払いだけでなく、美と健康の象徴とされていたのですね...!

ということで今回は「ひな飾りと、桃の意味」にフォーカスしました! 

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次回のハナラボもおたのしみに♪

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