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NITTEN ハナラボ 第72回「バラが1年中店頭に並ぶ理由」

花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売していらっしゃる、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。

横浜市の花としてバラが指定されていますが、今ちょうど、
横浜イングリッシュガーデンや横浜の山下公園のバラきれいなシーズンを迎えています。
おうちのお庭にバラが咲いている方も多いと思います。



いまちょうどバラのシーズンなのですが、お庭のバラは 5 月に咲くのに、
なぜお花屋さんには1年中、切花のバラがあるんでしょうか??

・・・正解は「ハウス栽培しているから!」。
そして1年中出荷できるようになったのは「西と東の文化が入り混じったから!」なんです。
バラには春に咲く季咲きのタイプのものと、 年に何回か咲く四季咲きのものと大きく2種類あります。
春に1度しか咲かない季咲きのタイプをハウス栽培しても、1年中咲くとは限りません。

すごい古い話ですが、バラが地球上に現れたのは5000万年以上前といわれ、
どこに自生していたかというとヨーロッパ、アジア、アフリカ、北アメリカ、中近東など北半球を中心にあちこち。
日本にもノイバラやハマナスなどの原種が自生しています。
古代エジプトのクレオパトラがバラを愛してやまなかったことは有名な話ですが、
クレオパトラが部屋に敷き詰めたバラの量を考えると、既にこのころにバラの栽培が始まっていたと考えられています。
そもそもバラの栽培は香料用、または薬用として始まり、香りを重視したダマスクローズという品種が西アジアで栽培され、
イスラム教の伝播とともに北アフリカ、ヨーロッパに伝わりました。
これらのバラは、華やかで香りも良かったのですが、1年に1回しか咲かないバラでした。
一方、中国でも紀元前からバラの栽培は行われていたのですが、
中国に自生していたバラはヨーロッパのバラにない四季咲きという特徴を持っていたんです。
側枝の先端に必ず花芽を付け、基本的には繰り返し花が咲き続けます。
この四季咲き性のバラが、18世紀の終わりから19世紀にかけてヨーロッパ諸国のアジア進出を機にヨーロッパに渡ることになりました。
そこで出合ってしまったのです!ヨーロッパのバラと中国のバラが!!
「この時バラの歴史が動いた」といっても過言ではないでしょう。
18-19世紀のころはナポレオンの時代ですが、ナポレオンの妃ジョセフィーヌは バラ収集が好きであちこちから250種くらい集めていたそうです。
こうしたことも背景も影響して、姿・香りは良いけど1年に1回くらいしか咲かないヨーロッパのバラと、
四季咲きの中国のバラとが交雑され、現代に繋がるバラが誕生することになったのです。

この出合いのあと八重咲き、大輪、色も形も多彩なバラの改良が進められ、バラ第三世代として大きく発展を遂げることになります。
このいわば第三世代のバラが伝わったのは文明開化以降。
西洋文化の到来とともに今私たちが店頭で見るようなバラも伝わったというわけです。
このような種類のバラは、四季咲の性質を元に、温度管理と潅水でいつでも咲かせることができます。
いまではエクアドルやケニアなど赤道直下の冷涼な適地で生産拡大に成功するなど、潤沢に供給されるようになりました。
その魅力から生産と消費の点から世界三大切花として成長し、最も注目される切花の一つとなっているのです。

ということで今日は「バラが1年中店頭に並ぶ理由」についてフォーカスしました!

来週のハナラボもおたのしみに♪

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