
花のトレンド・販売データなどを調査・分析して販売していらっしゃる、
株式会社 大田花き 花の生活研究所の内藤育子さんに、
お花に関する様々なことを伺っていくハナラボのコーナー。
今回は、裏千家茶道助教授で神奈川大学の教授でもいらっしゃる寺嶋正尚先生をお招きして、
茶花についてのお話を伺いました。
茶花とは、茶席に生ける花のことで、季節の花を投げ入れ形式で生けます。
枝物と花など、たいていは 2-3 種類くらい。
フラワーアレンジメントと異なり、花が主役ではなく、あくまでもお茶をおいしくいただくための脇役です。
あまりたくさん入れるのではなく、引き算の美学があります。
また、フラワーアレンジメントなどとは違って、枝物や花を、剣山などを用いずに生けます。
茶道には色々な流派がありますので、 その流派によって決まりごとは多少異なりますが、
例えば裏千家茶道では、葉の数が4などの偶数にならないようにします。
陰陽五行の考えがベースにあり、偶数は陰、奇数は陽とされているので、 葉の枚数が3枚など、奇数にします。
また茶花はわびさびの世界をいかに表現するかなので、華やかであってはいけません。
茶花は季節感を大事にしていけるのですが、特に季節を先取りしていける「走り」の花が好まれます。 先駆けの花や蕾をいけるといいですね。
季節から外れた花や狂い咲き、返り先の花は好まれません。
また、季節に合わないもの、色彩の派手なもの、輸入品の花などは避けます。
ほかにも香りが強い花、例えば今でしたら沈丁花の季節ですが、
沈丁花は香りはいいのですが、お抹茶の香りが感じられなくなると困りますので、 茶花としては生けないことになっています。
ほかにも言葉の響きから河骨や女郎花など、色彩が明るすぎるなどの理由からケイトウなども飾ってはいけないとされています。
いけてはいけない花というのがあるのが、 フラワーアレンジメントや生け花とかなり異なる点のように思いますが、
それは花が主役ではなく、 花がその空間や茶道の時間を引き立てるものだからです。
茶道では花も大事ですが、花入れの器もとっても大事で、 花と花入れの組み合わせなども楽しんでもらえればと思います。
茶花と花入れのバランス、さらには茶席全体の中の1パートとして茶花を見て頂くと、
花そのものの楽しみから広がりが出てきて、さらに面白いと思います。
茶花は、多くの人は自宅で育てています。
季節を先取りして、今まさに咲く寸前のような、つぼみの段階で投げ入れ方式でいけるには、 やはり自宅で育てた方が良いのだと思います。
今回は素晴らしい日本の文化を教えていただきました。
来週のハナラボもおたのしみに♪