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脚本家「篠﨑絵里子さん」

今回は、KAAT神奈川芸術劇場で来月上演となる【ラビット・ホール】の上演台本を手掛けられた、脚本家の篠﨑絵里子さんにお越しいただきました。

テレビドラマなどの脚本を数多く手掛け、2009年には『第17回橋田賞』を受賞されていらっしゃいます。

元々は小説家志望だったという篠﨑さん。「中学の時、夏休みの宿題で50枚位の創作(小説)を書いた所、横浜市のコンクールに入賞したことから小説家になりたいと思うようになりました」

幼少期よりピアノを弾いてきたことから、横浜国立大学の教育学部音楽科に進まれ、卒業後は会社員として働いていらした。小説家という夢にピアニストも加わった時期もあったそうですが、「中学生の頃から物書きになりたいと思っていて、大学に入る時も、会社に入る時も実は物書きになりたいと、長い事いつかいつかと思っていたら、いつの間にか、その”いつか”は来ているというパターンにはまってしまいました」
就職後2年が経った時、「”いつか”は自分で作らなけらばダメだと、ようやく気付きました」そして、まずは学校にと。すぐに通えたのが脚本の学校だったという。「脚本と小説の区別もまだついていない頃でしたが、勉強をしてみたら脚本が面白くて、そこから今の道に繋がっていったという形です」

初めての仕事は、学校を卒業後すぐに携わった昼ドラの脚本。
アニメ『ちびまる子ちゃん』にも携わる。「一番初めの昼ドラから少しお休みした時期があったのですが、もう一度やりたいと思った時に出会った脚本家募集でした」さらに、非常に助けられた作品でもあったという。
「当時一人暮らしをしていたのですが、会社も退職していたため部屋が借りられない状況でした。そこで、ちびまる子ちゃんを書いていることを不動産屋さんに伝えた所、それを武器にと考えて下さり、部屋が決まったということがありました」不動産屋さんから大家さんへは、「ちびまる子”さん”を書かれている方なのですよ」とても丁寧なご紹介だったそうです。

KAAT神奈川芸術劇場で2/18 2/23※から上演となる【ラビット・ホール】は、2007年ピューリッツァー賞戯曲部門を受賞。ニコール・キッドマン制作・主演で映画化もされ数々の賞に輝いたという作品です。
幸せな日常と未来を突然奪われながらも、深い悲しみから一歩を踏み出そうとする家族の物語。「苦しんでいるのは、幼い子どもを事故で亡くす夫婦だけでなく、妻の母親や妹、子どもを轢いてしまう若い男の子、彼らの気持ちが少しずつ変化していく、その過程をすごく丁寧に描いた作品です」「重い話に聞こえるのですがそうではなく、もちろん底には哀しいものが漂っていますが、目の前に見えているのは、とてもユーモアたっぷりの明るいやりとりであったりするので、笑っているうちに気が付いたら泣いているという舞台です」
篠﨑さん自身も、翻訳から上演台本に起こしながら、どんどん引き込まれ、最後は泣いていたという。

出演:小島聖さん、田代万里生さん、占部房子さん、新原泰佑さん、木野花さん 演出:小山ゆうなさん 上演台本:篠﨑絵里子さん
KAAT神奈川芸術劇場(大スタジオ)2022年2/18(金) 2/23(水・祝)~3/6(日)
※2/15追記
ラビット・ホールは、公演関係者1名に陽性者が発生したため、初日を2/23(水・祝)として開催。2/18(金)~20(日)の公演は中止となります。

チケットお問い合わせ先:チケットかながわ 電話0570‐015‐415
24歳以下、高校生以下、65歳以上のシルバー割引などがありますので、詳しくは、KAAT神奈川芸術劇場【ラビット・ホール】のサイトをご覧ください

これまで、ドラマ『クロサギ』『紙の月』、連続テレビ小説『まれ』といった映像作品の脚本家として活躍されてきた篠﨑さんですが、舞台の脚本と違う点とは。
「一番大きく違う点は、舞台はカメラの誘導が無いということ。言葉は受け手の感情も重要になってくるので、映像の脚本では、喋っている人だけでなく、聞いている人その表情も見せたいと思った時の書き方ができるが、舞台は皆平等に立っているので、どう表現し、どう演出するのかと考えたことでした」

最後に、脚本家として大切にされていることとは。
「どんな仕事もだと思いますが、最後は”自分”が出るので、自分を整えていかなければいけないということを実感しています。自分の本質が出てしまう。何か迷った時には自分が自分を好きになれる方を選ぶということをしています。自分だけは、自分がこの時どんな想いでいたかを知っているから、自分で自分は騙せないですからね」人格改善を図っていたとも仰っていましたが、自身を整えて脚本を書くことに向き合っていらっしゃるという。

そして、今回の舞台との縁を今後も続けていくことができたらというビジョンも聞かせていただきました。


◆なでしこの素◆
お持ちいただいたのが、篠﨑さんが愛用されている愛らしい猫ちゃんのペーパーウェイト(文鎮)
無類の向田邦子ファンを公言する篠﨑さんですが、
猫好きの作家と言われた向田さんの妹さんからいただいたというもの。

後ろ姿も♡

 

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