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介護福祉士、認知症トレーナー「大場育子さん」

今回は、介護福祉士で認知症トレーナーの大場育子さんにお越しいただきました。

高校卒業後、寿退社されるまでは、京浜急行の観光バスガイドとして勤務されていた大場さん。
義理のお母様が認知症になり、そこから約20年に渡る家族介護を経験。その間、介護をするのに不安を抱き、ホームヘルパー2級と介護福祉士(国家資格)も取得され、その後、デイサービスでお仕事としても働かれるようになります。

お義母様の介護、その始まりは。
「おじいちゃん(義理のお母様のご主人)が亡くなってしばらくして、義母がなんだかいろいろと問題行動が見られるようになりまして、私は32歳位でしたが、そこからスタートしました」
「結婚前から主人のご兄弟には、親の介護が必要になったら頼むという事を言われていましたので、介護をする事自体はすんなり入れたのですが、はじめは転倒して病院に連れて行きたいのに、車いすを上手く押す事もできなくて、これではダメだと勉強するようになったのです」

睡眠時間は平均3~4時間に。最初はもがき「なんでなんで!」と思っていたと大場さん。

しかし当時を振り返って、こんなお話もしてくださいました。
「認知症って不思議だなと思ったのが、息子や私の名前は忘れても、声を掛けると振り向くんですね。声は分かっている。それから、最後は施設にいたのですが、面会に行くと「あなた居たの!」と言って、手を握ってくる。すごく嬉しかったですね。上手く出来なかったり、言っちゃいけない事を言って自己嫌悪に陥る事もありましたが、『いいんだ、名前を忘れられても、これでいいんだ!』そんな風に最後は思えました」

そして、お義母様の介護をしながら、介護を仕事にもされた大場さん。
「レクなどを通して、他の方にも楽しんでいただきたいという気持ちがありました。又、自分の糧にもなったのです」家は家、職場は職場で、それぞれ励みになる場面がある。切り替えの意味もあったと仰います。

これまで2冊のエッセイを出版されている大場さん。
1冊目は今から15年前、お義母様の介護真っただ中に執筆された【育ちゃんのドタバタ介護 只今、奮闘中】
「義母の日々を毎日メモしていて、いつか役に立つのではと思っていました。ある時友達が、旦那さんのお父様が2,3日泊りにきているだけなのに色々な愚痴があって、『私は毎日よ』と思ったりしていたのですが、ふと、『でも、彼女もあと2,30年経ったら介護に直面する。私が経験してきた事が必要になる人がいると考えたら、その人たちの為に残そうと思いました」

そして、昨年は2冊目となる【育ちゃんの介護人生の道】を出版された。
こちらは、お義母様が認知症になってからの約20年、ご家族が奮闘し、その都度悩み、葛藤したことが一つ一つ書かれています。又、大場さんが介護現場で働いた経験を活かし、そこから学んだり、感じたり、思ったりした事を、「介護で悩むご家族の方々に何か伝われば嬉しいですし、少しでもお役に立つ事ができれば救われる方がいらっしゃればいいなという想いで出しました」

2冊とも文芸社より。全国の書店、アマゾンなどのオンライン書店でご購入いただけます。又、電子書籍にもなっていますので、是非ご利用ください。

今後は介護食の本を出す事が夢だそう。
「約20年の義母の介護の中で一番直面したのが、ご飯、食べる事でした。朝・昼・晩とあるので、3食って大変です。私も結構手抜きをしたり、工夫していました。それをまとめて、今後介護されていく方に役立ててもらえたらいいなと考えています」
認知症トレーナーとして講演活動なども行っていらっしゃる大場さんですが、是非これからも体験談を広く伝えていっていただきたいです。

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