ファンケル ヨコハマなでしこ - Fm yokohama 84.7

陶芸家、陶造形作家「山本貴美子さん」

今回は、陶芸家の山本貴美子さんにご出演頂きました。

陶芸家を目指すきっかけは高校時代。神奈川県立上矢部高校の美術陶芸コースに進学した。
「授業で、大倉陶園(横浜市戸塚区)の工房を見学した時に、絵付けの部屋で大きな壺やお皿に黙々と絵付けされている姿がとても印象的だったのです。静かな空間に、充実している空気感を感じて、作業している方に強い憧れを持ち、将来こんな風に仕事ができたらいいなと思いました」

横浜美術大学 彫刻クラスへ。「大学では、石を彫ったり、塑像(そぞう)と言って自分を粘土で彫刻したり、木を彫ったりと彫刻家として過ごしました」
その後、京都市立芸術大学大学院の陶磁器科にて、更に深める。「好きな陶芸家の先生方が多く卒業されていたり、そこで教授をなさっているという事もあって、自分にとって良い学びがあるのではと思い切って京都へ行きました」
大学院を修了後は、母校の美大の学部から声が掛かり、横浜へ戻って7年間助手として勤務された。

陶芸の魅力とは。
「様々な技法や表現法があって、同じ様なものを作ったとしても、全く同じものが二つとないことですかね」と山本さん。「焼くという行為は、当たり前ですがとてもリスクを伴い、大変な事です。陶芸制作の全てをコントロールするのが難しい。例えば、1,200度を超えると焼いているものが一度溶けて、また元に戻るという習性があって、その溶ける際に形が崩れてしまったり、折れてしまうという事があります。大変ですが、そういった過程の中で出てくる困難を克服するプロセスが、自分の中では面白いなと思っています」

山本さんの作品には、うさぎやねこ、小花、蝶などが組み込まれている。
「作品には、物語性を込めたいと思っています。道先案内人としてうさぎやねこがアイコンとしてよく使われていますよね。物語の入り口で動物を通して森に入って行くと不思議な事が起きる!みたいな」「私の器を使う事によって、現実とは少しかけ離れた場所で、ほっと一息ついてもらえると嬉しいなという想いがあります」

そして、”青色”も山本さんのこだわりです。
「色味に関しては、長いこと研究中です。青色というのが、自分にとってはどんな気持ちの時でも寄り添ってくれる様な、優しくて凛とした色だと思っています」「粘土を変えると、同じ釉薬の調合でも色味が変わってくる。窯の温度が10度違ったとしても全く色味が変わってしまうという、細かい事は本当に色々あるのです」
現在の色に到達するにも、もの凄い時間を要し、研究ノートは今6冊目だという事ですが、まだ満足できていないとも。「これから、理想の”青色”をもうちょっと研究したいと思っています」

釉薬の調合は紙の上で計算できたとしても、焼く事により組成の変化が起こってくる為、実際には窯の蓋を開けてみないと結果は分からない。「窯の中の状況を把握するのも、数値的には難しいんですね。窯の場所や温度状況や湿度や、出てきたものは毎回ちょっとずつ変わってきますし、展覧会前などギリギリで制作している時は、祈るような気持ちで窯の蓋を開けていますね」それだけに、出来上がった作品は愛おしく、とってもとっても大事。

今後は、空間装飾も。
「去年、横浜のアートイベントで、700個制作したタイルを地域の方々と協力して、3日間かけて壁に貼り付けレリーフの作品を完成させたのですが、その工程がとても楽しかった!またそんなお仕事もできたらいいなと願っています」

山本さんの作品はSNSでご覧いただけます。最新情報もチェックしてください!
インスタグラム》《ツイッター
黄金町アートブックバザール店舗にて、今月納品予定(中区日ノ出町)

☆毎年6月には、横浜高島屋で展示販売が行われています。

top