ファンケル ヨコハマなでしこ - Fm yokohama 84.7

いけばな作家・フラワーアーティスト「西澤希生さん」

こんにちは!半田あいです。
今回のファンケル ヨコハマなでしこは、いけばな作家・フラワーアーティストの西澤希生(にしざわ・まい)さんにお越しいただきました。

”生けることは生きること”

華道の家に生まれ、物心つく頃から花のある日常の中育ったという西澤さん。
6歳の6月6日に初稽古(世阿弥の風姿花伝に習い事始めは満6歳が良いと記載されていた事が由来と言われているそう)を迎え、師であるお母様のもと、草月流を学ばれます。
「実は色々習い事をしていたのですが、お花以外続かなかったのです。花をいける・触る・花と遊ぶ事は小さな頃からとても好きだったと思います」
師範取得後、2000年から華道展出展、本牧・青山アトリエ稽古助手、読売カルチャー講師助手を務めます。
2004年より横浜を拠点に生け込みやアレンジメントを手掛け、2010年 Atelier Dew(アトリエ デュー)を立ち上げられます。

Atelier Dew には”みずみずしい””うるおう”そして、”ほんのひとしずくでも何かが変わる事もある”という思いが込められています。「いつか誰かにとってのそんな”ひといけ”を生けられる様になりたい」
生活環境に応じて関わり方に変化はあっても、一貫して”いけばなで何ができるのか”を模索し続けてきた様に感じると西澤さん。
Atelier Dew 立ち上げの大きなきっかけとして、「29歳の時、癌になった事」と仰います。「積み重ねてきたもの全てを手放しての手術治療等、当時は本当に色々な事があり、ポッカリ空いた心を持て余す数年間でした」「でも有難い事に、私にはいけばながあった」一層色濃く深く、人生にいけばなが浮かび上がってきた。
「植物の佇まいやしなやかさには、生きるヒントみたいなものがいっぱいあるんです。例えば、鬱蒼と茂った森の中でもほんの一筋の光を目指して枝先は伸びていく。そうして育ったその枝ぶりは何とも言えない魅力があったり、誰が見ようと見まいと関係なく楚々と咲き朽ち果て一生を全うする姿。いけばなは”生きる”を学ぶ事。そして、いけばなが無かったら、私はとっくのとうに挫けていた気もします」

いけばなの魅力とは。
「植物のチカラは本当に素晴らしく、たった一輪の花に心がふわりとしたり、季節を感じて瑞々しい命に触れる。植物から有形無形の恩賞を享受し生けるそれ自体がもう大きな魅力だと思います」
又、自然に生えている姿自体、完成された”美”があるが、その安定した状態の美から、切り取って(花材として)こちら側に引き寄せた生命。一層の美を引き出して、最後の最後まで大切に生かす事を心情とされています。「引き寄せたからには、植物・自然を媒体とした自分の表現というものをきちんと追求して対峙する事が大切だと思っています」
看取る様でもあり、命を学ぶ事、そして自分を知る事。

草月流の教えの一つに、『花は生けたらその人になる』というものがあるそうです。
そして、師匠であるお母様からずっと言われてきたという、「美しい花を生けたいのであれば、美しい人間でありなさい」という言葉。生き方として美しくあれという事。花は生けたら、その人間が出てくる。
「逆に生けた花を見て自分を思い知る事もあります。だからこそ難しくて面白くて、一生稽古。生涯飽きる事は無いのだろうと思います」

語り尽くせない程のいけばなの魅力を伝えてくださり、”いけばなが好き”が溢れ出る西澤さんですが、ライフワークとして行われているのがLIVEイベント【花と音楽】
音楽LIVEと同時進行で、空間を大きく使ったいけばなを生けていくというものです。
「展覧会の形で観ていただく事も凄く大切な事ですが、一方で、いけばなとあまり接点がない方々にも、いけばなの面白さや魅力を身近に感じていただける機会はないかと考えていました」
そして、五感で感じ楽しむ事はシンプルにワクワクする!「人生一回なので、せっかくならワクワクする何かを見つけに行きたいと思って」
15年前、横浜のBar Luther というお店で営業中に生け込みをしていた時、レコードを聴きながら生けるのがとても楽しく、花達も何か気持ちよさそうで相乗効果のような感覚があったという経験がきっかけだったという事。
90分ノンストップに生け続ける(土台も入れたら約300本の花材を使用!)、60分ノンストップを2ステージ等、天井からステージ全体、客席も一部使い、「ミュージシャンが花で埋もれていく感じです(笑)」
「後半の疲労感も抱えながら、演奏もMC無しのノンストップですから、よく受けてくれるな!と感謝ばかりです」というイベントは、最終的には花と音楽と観客の熱気が一体化するという空間になるそうです。一度是非”体感”してみたいですね♪
「それぞれが呼応し連動しあい生まれる、その瞬間のうねりや儚さや美しさ、予定調和ではない不安定さも含めて、創造する面白さがそこに在る様に感じています」
ライフワークですから、コロナ禍が落ち着いた暁には、パワーアップして【花と音楽vol.5】実現を目指したいという事です。

「花の事だったら、何でもAtelier Dew にと思っていただけるようにこれからも精進していきます」
という事で、お花のご相談は Atelier Dew ホームページ、又フェイスブックページやインスタグラムからDMを送っていただく事も可能です。アレンジメントや生け込み、プリザーブドフラワーギフト、デモンストレーション、出張レッスンもお問い合わせください。

◆なでしこの素◆
『草月流初代家元による【花伝書】』幼い頃、師匠であるお母様から貰ったというもの。草月流の歴史から、いけばなの面白さや精神論も。迷った時、何かあった時に初心に戻れるという西澤さんのバイブル。

『花鋏と手ぬぐい』



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