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YES! For You 今回のテーマ「ゼロエネルギー空調②」

毎月、第一・第二月曜日は「YES! for you」。
「Zero Carbon Yokohama」をゴールに、
SDGs未来都市 横浜から その今を、発信していきます。

今週は、横浜高速鉄道株式会社 運輸部施設課 千葉直義さんが登場!!




みなとみらい線の馬車道駅では、
冷房のために使われるエネルギーをゼロとする
『ゼロエネルギーステーション』の実現を目指した取り組みを進めていて、
キーワードは『再生可能エネルギー』と『デジタルテクノロジー』ということでしたが、
それぞれ具体的に教えてください。
再生可能エネルギーを、利用するシステムとしては、大きく二つあります。
一つ目は、地下湧水を介して、地中熱を利用するプレクールシステムです。
駅構内の空気環境は、新鮮な外気の取り入れにより保持していますが、
夏は暑い空気を冷やすために、大量のエネルギーを費やしています。
そこで、地下湧水を利用して、暑い空気を冷やすシステムがプレクールシステムです。
新鮮な外気を取り入れる際に外気よりも低い温度となる湧水を通過させることで、
暑い空気を冷やすために、費やすエネルギーを削減させるというものです。
二つ目は、列車風を利用するクールゲートシステムですが、
事業では、水の気化熱で冷気をつくりその冷気を列車風によって、
ホーム周辺に拡散させる装置の開発をしています。
気化熱というのは、いわゆる『打ち水』で涼しくなる原理のことです。
私たちは、この装置をクールゲートと呼んでおり、
エアコンのように、大量のエネルギーを使うことなくホーム上にいらっしゃるお客様に向けて、
わずかな水を用いて冷風を吹くものです。
現在、このクールゲートの試作機を、馬車道駅のホーム両端に設置しています。
デジタルテクノロジーについては、これまでも冷房の省エネ運転を行ってきましたが、
お客様のご利用状況に合わせたよりきめ細やかな、冷房運転を実現するために
高度な自動制御を必要とすることから、IoTやAIを利用します。
お客様のご利用状況は、朝夕の通勤ラッシュ以外の時間帯やホーム・コンコースの場所により、
混雑していないところがあります。
そこで、従来は広い駅空間を均一に冷房運転していましたが、
AIにより、お客様が多く集まりそうな時間帯や、場所を予測して、必要なところに
必要な冷房運転を行う、システムを作っています。
この鍵を握っているのが、デジタルテクノロジーというわけです。
馬車道駅では、駅構内にいらっしゃる、お客様の密度分布や温熱環境のデータを、
センサーにより取得し、このデータをAIなどによって分析し、冷房運転をコントロールします。
このシステムに、再生可能エネルギーを扱う実証設備を、組み合せることにより、
新たな冷房システムによる、効率の良い冷房運転の実現が可能と考えています。


『ゼロエネルギーステーション』の成果はいつわかるんですか?
本格的な実証実験は、2021年度となりますが、
昨年の夏には、実証想定実験により、冷房消費エネルギーの削減効果を試算しました。
実証想定実験では、お客様の密度分布や温熱環境データに基づく、
冷房の運転停止を手作業にて行った結果、冷房消費エネルギーの削減目標値50%以上に対し、
60%の削減が見込めることを確認しました。
2021年度の実証実験では、新たな冷房システムに係る実証設備にて自動コントロールにより、
成果を確認する予定です。

削減効果もすごいんですね!駅の構内が暑くなったりしないのですか?
いいえ、熱くなったりはしません。
確かに、お客様が不快に感じないか心配がつきまといます。
私たちが目指す、『ゼロエネルギーステーション』により
お客様が暑くて倒れてしまうことがあっては、元も子もありません。
従って、昨年夏の実証想定実験では、駅構内各所に設置したセンサーにより、
取得される温度データをリアルタイムにモニタリングしながら慎重に行いました。
さらに、お客様の感性にも配慮するため、地上出入口から駅構内に入られたとき、
また列車から駅構内に降りられたときの、感じ方のアンケート調査を行いました。
アンケート調査では、不快に感じる方が、少なかったので、ホッとしています。



冷房消費エネルギーの削減は、2021年度予定の実証実験により、
目標値以上の成果が得られると期待しています。
今後は、馬車道駅で生み出された、『ゼロエネルギーステーション』の技術を、
みなとみらい線各駅に展開し、さらには日本全国の駅に至るまで普及されていくことで、
将来的な地球温暖化対策の強化につなげることを私たちは夢に描いています。
そして、みなとみらい線でのCO2排出削減技術が横浜市が掲げる「Zero Carbon Yokohama」を象徴する取組みとなり、
今後も積極的な情報発信により脱炭素社会の実現に貢献したいと考えます。
最後に、みなとみらい線は、SDGs構想の下、
環境に配慮しながら新たな価値や賑わいを創出して、横浜都心部の発展に努めていく所存です。
みなとみらい線へ皆さまのお越しをお待ちしています。



みなとみらい線
みなとみらい線 | 横浜高速鉄道株式会社 (mm21railway.co.jp)

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