E-ne! ~good for you~ - Fm yokohama 84.7

YES! For You 今回のテーマ「大気中マイクロプラスチック②」

毎週月曜日は「YES! for you」。
「Zero Carbon Yokohama」をゴールに、
SDGs未来都市 横浜から その今を、発信していきます。

今週も、
早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 教授 大河内博さん が登場!!

先週は大気中マイクロプラスチック、AMPSの基本を教えていただきましたが、
先週の最後の方に出てきた、豪雨についても大河内先生はいろいろと研究されているのですよね。
はい、いわゆるゲリラ豪雨や、山間部で降る豪雨ですね。こういったものがいつから増えているのか、
またどうして増えているのかというようなことを調べています。この非常に激しい雨の回数なのですが、
この10年間で311回もありまして非常に増加してきています。
また、これはよく聞きますが、比較的短時間の雨という数年に1度しか発生しないような大雨
というのが2017年と2018年、これ100回以上もありまして、この2年間は非常に多いですね。
時期としては、大体7月から9月くらいに集中しています。

では先生、今年もやっぱり警戒しておいた方がいいのでしょうか?
そうですね。2019年もそれなりに降っていますので、やはり注意する必要があると思います。
都市部だけではなく、山間部でも降っているのですよね。
そうです。ただメカニズムがちょっと違っていて、両方ともわかっていない部分があるんですね。
1つ質問なのですが、ゲリラ豪雨が酸性雨だということは、ご存じでしたでしょうか?
存じ上げませんでした。
普通の人は知らなくて、僕らが研究してはじめて見つけたことなのですが、
ゲリラ豪雨というのは非常に短時間に大量の雨が一気に降るので、台風のようなものを
イメージしていただければと思います。結構きれいな雨なのではないかと思っていたのですが、
実際調べてみると、非常に高濃度に大気汚染物質を含んでいました。これの影響がなかなか難しいです。
従来は量的な話ばかりで、例えば洪水が起きます、などと言われていたのですけれど、
例えば酸性物質みたいなものがたくさん入っていますので、ビル等にも一気に激しい影響を
与えてしまう可能性があります。



これまでゲリラ豪雨というのは、ヒートアイランド現象をご存じでしょうか、
地上で空気が温められますね、それが空気が軽くなって上空に運ばれて行きます。
そうするとそこの上空に上がったところに湿った重たい海風というものが海岸の方から
集まってくる、それによって雲がさらに発達して、豪雨が降るといわれていました。
ただ、ヒートアイランドが起こるときというのは結構日差しが強いので、
大気汚染物質の反応がすごく起こりやすい。そうしますと、例えば窒素酸化物と呼ばれている
自動車から排出されるようなものですとか、二酸化硫黄というようなガス状の汚染物質から
粒子が、PM2.5 がたくさんできるんです。そうすると、こういったものは雲を大量に作る
可能性があります。さらにヒートアイランドが発生した時には大気汚染物質が周囲から一緒に
集まってきてしまうという可能性があります。
一方山間部豪雨の場合にはちょっと状況が違いまして、これは地球温暖化が大きいのではないか
と考えられています。というのは、今地球温暖化によって海水温の上昇が起こっていまして、
大量の水蒸気が空中に運ばれます。そうすると激しい雨を降らせる様なことになります。
実際富士山や丹沢の南東麓の方で、非常に激しい豪雨が増えてきている状況にあります。
一つは地球温暖化の影響があるのではないのかなと思うんのですが、それだけなのか、
というのはあまりよくわかっていないので、それを解明するような研究を行っています。




今年も、富士山の方にも行くのですが、富士山頂というのは、富士山に登られた方なら
わかると思うのですが、非常に見晴らしがいいですよね。
そして、富士山だけが孤立してある、その山頂の高度は非常に上空の高いところにあります。
そこは、専門用語で自由対流圏というのですが、周辺の大気汚染物質が上空に上がらないような
非常にきれいな領域で、常に激しい偏西風が吹いています。
確かに山頂はものすごい風で、本当に飛ばされそうになりますよね。
そうなんですよね、これ西側の方からそういった強い風が吹いているのですが、
アジア大陸というのは大気汚染物質の主要な排出源になっていまして、そういったものが
そのまま偏西風に乗って富士山にまで運ばれてくるので、富士山を使うとそういった
いわゆる越境大気汚染という、そういった観測が行える場所です。

先生その富士山頂で、調査される際に使われるのも、研究上で使われるような機材なのですか?
はい、そうですね、基本的には地上で使っているものを上にあげるのですけれど、
やっぱりなかなか上空は大変です。例えばポンプで空気を引くといっても気圧が低いので、
地上だったらちゃんと既定の流量で引けるものが、山頂へ行くと規定の流量まで上がらない
ということがあって、結構苦労したり、雲がかなり発生するので、サンプル、
その粒子を取りたいのに雲の水が入っちゃってですね、水でジャバジャバになってしまう…
結構いろんな大変な問題があります。
では毎年そうやって富士山頂に登られて、様々な調査をされていますけれども
その都度うまくいくこともあれば、そうじゃないこともあるという…
そうですね、今もう富士山で14〜15年行っていますので、初めのころは失敗ばかりだったのですが、
今はその経験がありますので、なんとかきちっとしたデータはとれるようにはなっています。
旧富士山測候所が、ちょうど富士山の中でも一番標高の高い剣が峰というところですね、
よく富士山の山頂3776メートルといわれるのは、その剣が峰の標高なんですね。
そこまでいかないと頂きに立ったことにはならないのですよね。
そうです。そこに夏場2か月間、7月と8月なのですけれども、そこに泊まりながら観測をしています。
今現在NPO法人富士山測候所を活用する会というものを研究者が立ち上げています。
今皆さんたちにそういった寄付をしていただきながら研究をしているというような状況です。
雷の研究、高所医学、高山病の研究などもしています。今現在、富士山測候所が非常に老朽化してきて、
結構雨漏りなどもしています。ですけれども、それを自分たちで修復しながら使っているような
状況なんですね。この富士山測候所が使えなくなってしまいますと、地球規模での大気観測をはじめ、
様々な研究が今後できなくなってしまいます。ですからこの日本が世界に誇る日本最高峰の研究所である
この富士山測候所の存続、さらにはこの富士山測候所の研究というのを
どうか皆様にご支援いただきたいなと思っております。







top