E-ne! ~good for you~ - Fm yokohama 84.7

YES! For You 今回のテーマ「認証制度」

毎週月曜日は「YES! for you」。
「Zero Carbon Yokohama」をゴールに、
SDGs未来都市 横浜から その今を、発信していきます。

今週は、
WWFジャパン 自然保護室 森林グループ 伊藤小百合さん が登場!!


私はWWFジャパンでは世界の森でどんなことが起きているのか、
私たちにどういうことができるのかっていう事を一般の方にお伝えしたり、
現地の森林保全のプロジェクトに関する発信を担当しています。

今日のトピックにもなるのですけど、パーム油の入った食べ物が好きです。
例えばポテトチップス、パン、アイスクリーム、チョコレート、
フライドチキンなど…いろいろな物に使われてます。
パーム油は世界で一番消費されている植物油です。
アブラヤシと言う名前の木の実から採れる油なのですが、色々なものに入っています。
日本では食品への利用が大体8割ぐらいマーガリンやショートニング、植物油、植物油脂
と聞いたことがある原材料も多いかもしれません。
食品以外にも、せっけんやシャンプーとか洗剤にも使われているので、
日本に住む私たちにも毎日お世話になっているとても身近な油です。





ただ、身近な油であるパーム油にもいろいろ問題があって、
このアブラヤシの木が育つのは雨がよく降る熱帯の地域に限られているのですが、
元々熱帯には貴重な熱帯雨林が広がっていました。そこにはたくさんの野生生物が住んでいて
そこに暮らす先住民族の方々もいました。でも、その森がものすごいスピードで切り開かれていて、
アブラヤシ農園が作られている。その規模がものすごい、半端ないらしい、と
パーム油を消費する国々の中でも欧米の国々を中心に1990年代後半くらいに
問題視されるようになってきました。そこで、実際にその現場に目を向けていくと
森林破壊だけではなく、強制労働であったりとか、児童労働であったり、
アブラヤシ農園で働く人の社会的な問題も指摘されていました。
そこでじゃあどうしたらその持続可能なサスティナブルなパーム油を作ることができるのか
というのを話し合うために、パーム油の生産者さんであったり、大きな企業さん、
製油する会社さん、油を使って商品を作るメーカーさん、売る小売さん、商社さんもですね。
パーム油の産業に関わる企業の方々それから私たちWWFのようなNGOも集まって
大きな会議の場を設けました。これから50100年ってホントに長い目線を持って環境的にも社会的にも
負荷を与えないで経済的にもこのパーム油の産業を成り立たせるためにどうすればいいのか、
というのを話して考える会議でした。
WWFもこの会議のメンバーの1つだったのですが、
そこで『Roundtable on Sustainable Palm Oil』持続可能なパーム油のための円卓会議
という名前の会議が始まりました。2004年に初めて会議が開かれたのですが、
今でも毎年続けられていて、今はその会議自体が1つの非営利組織になって、
参加する企業や組織がメンバーになって、持続可能なパーム油をどう生産するのか、
どう流通させるのかっていうルールを作っています。
そのルールを守って生産されたパーム油の含む商品にマークを付けて、流通させて、
それを増やしていこう消費者の人に選んでもらおう。そしてそれを当たり前にしていこう
という1個の大きなゴールを持って活動をしています。
2020年に入った今現在では、日本企業の177社がメンバーです。
今有名な企業さんの加盟もとても多いのですが、日本ではまだまだRSPOのマークを
食品についているのをスーパーで見かけることも少ないかなと思います。
このマークそのものもそうですし、RSPOの仕組みも、あとパーム油の問題も
消費者の方にあまり知られていないことが1つの原因で、
パッケージにマークを付けるインセンティブがあまり生まれないというのがあります。





最近のパーム油の世界的な動向となると、
日本でも感じられるものは、オリンピックではないかなと思います。
東京オリンピックへの予測来場者数は一千万人と言われています。
こんなにもたくさんの人たちが使ったり食べたりする、そしてサービスとして使うもの
その消費の量というのはものすごい量になします。
たった1つのスポーツイベントのために、建物もいくつも建てられて、村も1つできます。
ただそんなに消費してしまって大丈夫なのか、というのがオリンピックがもたらす環境負荷に対して
考えられ始めたのが2012年に開かれたロンドン大会オリンピックでした。
東京オリンピックもそうした考えを少し引き継ぎながら今世界で初めて東京の組織委員会が
使うパーム油についてルールを世界で初めて定めました。
例えば、競技会場で提供される食品であったりとか選手村で使うシャンプーが
森を壊して作られたものでいいのか、児童労働があったものでいいのかということが
協議されてきたのですけれど、その中でRSPO1つの基準としてルール作りが進められてきました。
結果としてルール自体は緩いところもありますし、不十分なものになっていますが、
それでもパーム油という1つの原材料に対してルールが1個定められたというのが
大きなきっかけになって日本でもそのルールが作り始められた2018年くらいから
RSPOに加盟してメンバーになる企業さんの数が前の年と比べて
2倍、3倍と、どんどん、どんどん増えてきています。







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