毎週月曜日は「YES! for you」。
環境未来都市・横浜から「素敵な生活」を実現するためのヒントを発信していきます。
今週は、
横浜市温暖化対策統括本部 本部長 薬師寺えり子さん が登場!!
「ゼロ・カーボン・ヨコハマ」について。
薬師寺さんは今年度から本部長に着任ということですが
2018年振り返ってみていかがでしたか?
一言で言えば「温暖化対策は分かりにくい」というのが実感です。
「温暖化対策」と言えば「二酸化炭素(CO2)の排出量削減」ですが、
このCO2というのが「目に見えないので分かりにくい」とよく言われます。
それから、目標が少し先の話になります。2030年や2050年、
2050年の話をすると、「その頃にはもう生きていない」というのもよくある反応です。
どの方に話されるかによってこういったリアクションも変わってくるかと思うのですが、
総じて、とにかくもっとしっかりそしてスピーディーに温暖化対策に
取り組まなくてはいけないということですよね。
そうなんです。皆さんも「パリ協定」って聞いたことがあると思うのですが、
「世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く、
できれば1.5度に抑えましょう」という目標です。もう既に1度程度気温が上昇していて、
最も早ければ2030年にも1.5度上昇する可能性があると言われています。
そこで横浜市は、10月に、「ゼロカーボン・ヨコハマ」という、温暖化対策のゴールを
掲げたところです。具体的には、「2050年も見据えて、できるだけ早く「脱炭素化」、
つまりCO2を排出しない社会を実現しよう」ということです。
これは横浜市そして国内だけではなく世界的にも大事な事だと思う訳ですが、
例えば今月の始めポーランドで開催されたCOP24、地球温暖化を含む気候変動に関する
会議で行われた気候マーチでも1.5℃が進むべき道だと訴えられていました。
改めてどうシフトしていく必要がありますか?
基本的な考え方はシンプルです。今よりもっと、徹底的に省エネを進めます。
ただエネルギーの消費をゼロにすることはできません。そこで、最低限必要なエネルギーを、
CO2を発生させない「再生可能エネルギー」に切り替えていく という考え方です。
「省エネ」と「再エネ利用」を両輪で進めていくということです。
その二つの柱を立て続けてて随分になると思うのですが、
一般の方はどれくらい現状を理解されているのでしょうか?
興味深いデータがあります。「あなたにとって温暖化対策とはどのようなものですか?」
という質問に対して、世界の平均では66%の人が「多くの場合、生活の質を高めるものである」
と回答しているんですが、日本人は、60%の人が「多くの場合、生活の質を脅かすものである」
と回答しています。つまり「我慢するのが温暖化対策」と考えている方が多いということだと思います。
この夏、打ち合わせに出かけた時のことですが、こちらが温暖化対策本部ということで、
先方の担当の方があわてて会議室の冷房温度を上げて、みんなで汗をかきながら打合せをしました。
最近の暑さは「災害級」ですから、無理をせず適切に冷房を使っていただきたいと思います。
いま薬師寺さんがおっしゃった適切にというのが、ポイントですよね。
そうですね。横浜市では、「COOL CHOICE」というキャッチフレーズで、
温暖化対策につながる様々な取組みを市民の皆様にご紹介していますが、
「COOL CHOICE」というのは、「賢い」とか「スマートな」選択 という意味です。
省エネで言えば、新しい家電製品はとても性能が良くなっています。例えば、
今の冷蔵庫は、10年前と比べて50パーセント近い省エネになっています。
凄い進化ですよね!
そうなんです。一般的には、10年程度をひとつの目安に買い替えを検討するといいと
言われています。電球型のLEDランプは、白熱電球に比べると85%も省エネになっています。
今年、我が家では、部屋の照明を灯具ごと交換してLED照明にしたんですが、照明器具が昔と
比べてお安くなっているのに驚きました。「賢い選択で、快適でお財布にも優しい生活を」
というのが「COOL CHOICE」です。
企業の皆様も「温暖化対策は負担」とお考えの方が多いと思いますが、省エネは経営の
効率化につながります。それからもうひとつ。大切なことは、今、温暖化対策に対する
企業の考え方が大きく変わりつつあるということです。温暖化対策を新たなビジネスチャンス
と考えるようになってきています。
ビジネスチャンスですか?!
そうなんです。「脱炭素化」を実現するためには、様々な技術開発が必要になります。
このマーケットが非常に大きいのです。「脱炭素化」は「経済と環境の好循環」が
生まれてはじめて達成できるゴールと言われています。企業の皆様にも「温暖化対策」
に関連する新たなビジネスにご注目いただきたいと思っています。